はちみつと牛タン
有朋従遠方来
キキョウタニとカナが、釜石に遊びに来た。
子ども2人を連れて。
こすもす公園で4人が戯れているのを、ぼーっと見ていた。
二人は学生時代、「きずなプロジェクト」というグループにいた。
東京から岩手県の大槌町に通って、何かお手伝いをする。
お手伝いしないときもある。
ただ大槌町にいって、知り合った人に会って、
お話をして、ご飯を食べて、泊まって、お土産を買って、
夜行バスに乗って東京に帰る。
そうした旅費を稼ぐために、手首にはめるシリコンバンドをつくって、
サッカー、ラグビー、野球の早慶戦、早稲田祭など、
人が多く集まるチャンスを狙って、売っていた。
(いま思い出した! キキョウタニがシリコンバンドを誤発注して、大量にさばかないといけないこともあった)
プロジェクトは代替わりして、
キキョウタニはアメリカに留学、カナは地域留学(って言葉は当時なかったけど)、
戻ってきて大隈塾ゼミにときどき顔を出したりして、
そのうち付き合うようになって、卒業して、就職して、結婚した。
子どもができたんだぁ、と思ったら、
オーストラリアに移住するという。
カナが出産して間もなく、ライフチェンジしにいった。
家族になった二人
ときどきメッセンジャーで二人ともコンタクト続けていた。
休みをとってカナの実家の仙台にしばらくいるから、
釜石まで来る、と。しかも日帰りで。
わざわざ悪いなぁ、と思ってはいるけど、
こすもすでごはん食べて、
こすもす公園で子どもたち遊ばせるのもいいかな、
と思い浮かんで、そうしたのが昨日。
遠路はるばるこすもすについて、
お話しながら食事をして、
カナはおかずをほとんど子どもにとられながらも、
ごはんだけでにこにこ食べていた。
食後にこすもす公園で遊んで、ひとやすみしてコーヒーを飲みながら、
初めてキキョウタニに移住したきっかけを聞いた。
仕事に人の都合を合わせるか、人の都合に仕事を合わせるか
大手の外資系コンサルティング企業に勤めているキキョウタニは、
入社してすぐにオーストラリアにあるその会社のメンバーと仕事をするようになった。
それがとってもおもしろかったので、
会社に申し出て、オーストラリアの会社に移籍させてもらった。
子どもが生まれたばかり。家族(カナ)の承認を得たのか聞いたら、
「もちろんです」
というキキョウタニに対し、
「事後承諾っていうんじゃないの?」
と笑うカナ。
ビジネスビザの有効期間だけ、と思って移住したが、
いま永住資格にチャレンジしている、と。
暮らしやすい、から。
「たとえば、<期日>ってあるじゃないですか。
ぼくSEやってるんですけど、お客さんから注文が入る。
今月いっぱいでやってくれませんか? って。
そしたら上司は、『ムリですね〜、この人数では』という。
じゃあ12月にするかというと、先方から、
『12月だとお互いにバタバタしてるから、1月にしましょうか』
『そうしましょう』
ってなるんですよ、おもしろいでしょ笑」
「日本って、決まった期日に人が合わせていくけど、
あっちは人に期日を合わせるんですよ。
それでいいじゃないか、って」
キキョウタニは3ヶ月の育休をとって、
それぞれの実家にゆっくり里帰りしている。
オーストラリアのはちみつと、仙台の牛タンをおみやげにもらった。
焼いて食べたら美味しかった。
仙台の牛タンは肉厚で噛みごたえがあり、
釜石の地酒浜千鳥とよくあった。