わかっちゃいるけどできない「準備が9割」
シゴトのココロエ。
「万全な準備をする」
リーダーシップ・チャレンジ(社会人の大隈塾)の塾頭をしていただいているコマイさん(駒井正義さん)の持論のひとつ。
何事につけ、もうこれ以上できない、これ以上ほかにどんなことがある?
ってぐらいまで準備をすること。
あたり前そうであたり前にできない。
簡単そうで簡単にはできない。
やんなきゃいけないとわかっていてもできない。
時間切れで「まあこれでいいか」となる。
なんとかなる、やってみよう、自分らしく、
と「幸せの4因子」を誤用してしまう。
以上、すべてわたしのことです。
飲み会の乾杯さえも
コマイさんにはもう8年ほど塾頭をお願いしていて、
10ヶ月の講座で3回、講義をしてもらう。
だいたい毎年同じ内容なんだけど、
細かいところがビミョーに違っている。
コンプライアンスにしろハラスメントにしろバランスにしろ、
いまの世相にも合わせている。
そして、毎回のリハーサル。
台本(原稿)の読み合わせ(一人なのに)、
通し稽古で時間を計り、
台本(原稿)を構成し直す。
そして、本番(講義)前には「立ち稽古」。
現役時代は、総合商社の副社長まで上り詰めた人だから、
業界のパーティで挨拶することも多かったし、
部長本部長の時代はそれプラス飲み会で乾杯の発声もやるし、
そのいちいちのあいさつ、発声、スピーチにも、
どんなパーティなのか、どんな人たちが集まるのか、
主役は誰で、最近どんなことがあったか、
調べ倒して原稿を自分で書き、準備を万全にした。
いつもはオープンになっているコマイさんの部屋のドアが閉まっていると、
スピーチの稽古だ、とみんながわかるぐらいに。
そんなコマイさんともう8年もいっしょに仕事をしているのに、
わたしはまだ、準備を怠りがちになる。
準備して大丈夫だ、と思っていても、
本番でだったり、現場でだったり、
なにかが足りなくなっているし、
なにかが上手くいかなくなっている。
鬼のシゴキに耐える
わたしは若いときにライターをやっていた。
小学館の雑誌にサワダさんという編集者がいて、
サワダさんは取材する前に「コンテ」を書かせる。
コンテは、取材のシナリオ、台本みたいなもの。
すべての記者、編集者、ライターにコンテを書かせ、
質問項目、それに対する相手の答え。
その次の質問、それに対する相手の答え。
さらにその次の、さらにさらにその次の。
で、結論はこうだ、と。
もちろん、コンテの「相手の答え」にはちゃんと根拠がなければならない。
過去の記事、書籍などで調べ上げ、
取材相手が自分にのりうつってきたかのように、
なにをどう語るか、書き上げる。
何度も何度もダメ出しされる。
サワダさんに詰められ、
泣く泣く調べ直し、書き直し、OKがでたらやっと、
インタビューに行くことができる。
もうそのコンテだけで記事がかけるくらい。
たとえその記事が1200字程度の短い記事でも、
きちんとコンテを書き上げなければ、許してくれなかった。
そのおかげで、インタビューはとてもスムーズにいき、
ときには相手に褒められたり感謝されたりした。
予定調和だと反発するライターもいたが、
わたしはその試練に耐えたおかげで、
ちょっとばかりいいご飯が食べられる稼ぎになった時期もあった。
サワダさんとかナラさんとかスズキさんとか、
編集者にはがっつり鍛えてもらった。
用意周到、万全の準備で仕事に臨んでいたあのころに、
戻らないといけないな、と思った、
リーダーシップ・チャレンジの今年度最後のコマイさんの講義だった。