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ゼミ生ノンは「高校生と大学生をつなぐかけ橋プロジェクト」、
ユウナは「誰かのために思い出をかたちに」。

ノンは大学受験の際に情報があまりなく、
学部学科の内容をあまり理解せずに受験して合格した。
(たしかにぱっと見よくわからない学科ではある…)
受験情報が不足しているとすれば、
大学生とはどんなもんか、大学生活とはどんなもんか、
この情報はもっと足りていなかった。

だから、就活が終わって時間ができたとき、
(たしかに毎日実験に追われる学科ではある…)
友だちといっしょに、高校生に対して大学生の実態を伝えるプロジェクトを立ち上げ、オンラインでその活動を繰り返して経験を積み、
ビジネスコンテストにエントリーしたら優勝し、
虎ノ門にある新しいビジネスタワーの一室をタダで使える権利を得た。

ユウナはダンス系のサークルにいて、
そのサークルの恒例行事である卒業記念の動画をつくった。
ユウナはその担当ではなかった。
だけど、なんらかの原因で、
その動画を4年生にプレゼントする早稲田祭に間に合わなさそうだ、
ということを知り、
勝手に(自発的に)つくり始めた。
自分に任された早稲田祭でのタスクもある。
誰に頼まれたわけでもなく、ただただ卒業生が卒業生としての思い出を持ってサークルと早稲田大学を去れるようにと、その一心でパラレルタスクをこなしていった。
高校時代から「素」の自分は「自分第一主義」で、
大学に入ってこのままでいいのか、
というモヤモヤが一向に解消されなく悩んでいたが、
この「誰のために思い出をかたちに」プロジェクトで、
誰かのために一生懸命になることが自分らしいと気がつくことができて、
そのモヤモヤを解消できた。

3人目のプレゼンターは、ダッツー。
勉強もできてスポーツも上手で、
高校生から大学1年生まで、優等生として界隈に君臨した。
ところが、2年生のときに「世界が仕事場」という授業に出会い、
ワイルドな生き方学び方に魅力を感じ、
また、農業にも興味をもって生産者のところへ通うようになって以来、
「食」にも目を向けるようになった。
2年生が3年生になり4年生になり、
その間47都道府県を旅して、生産者と「食」を学ぼうと、
彼は彼なりに楽しみながら知識と経験を積んできた。

ある日のこと。
経験と自信が自己肯定感を高止まりさせている彼のその目線の先に、
年下でかわいらしい女子学生を捕らえるようになり、
その女性が八百屋でアルバイトをしていることを知り、
自分と趣味や関心が似てると早合点し、
その八百屋で自分もバイトをするようになり、
お互いに仲よくなって、ここがチャンスと交際を申し込んだ。
自己肯定感と自信満々だが、豈図らんや断られ、
いやこれは何かの間違いに違いないと再度申し込んだら、
やっぱりキッパリ断られた。

その恋バナと、
運転するクルマが山の中で脱輪して4時間恐怖の中を過ごしていたという失敗談がやたらとおもしろく、
それまでは下の名前で呼ばれてわりと尊敬されていた彼は、
以来「ダッツー」だの「脱輪」だの「ダツ男」というあだ名がつき、
優等生からいじられキャラにキャラ変した。
キャラ変したが、実はこれがダッツーの「素」なのではないかと自他ともに気がつき、今やゼミのある意味での中心人物となっている。
だから、冬休みに彼が旅行をしながら「食」を追求するとプレゼンしたら、
自分の街へこいというお誘いの声が、
教室のあっちこっちからかかっていた。

利他と「素」の自分、というお話でした。