生まれたときから野球は巨人
三陸鉄道の赤字が7.1億円。過去最大。
参議院補欠選挙の経費が8億円。
(岩手日報2024年9月18日付)
はあ?
三鉄は少子化の影響で定期券を使う乗客が減ったことと、
台風の被害からのリカバリーに多額の費用がかかっている。
線路が崩壊してまだ運休が続く区間もある。
一方、詐欺罪で起訴された広瀬めぐみ元議員の辞職に伴う補欠選挙。
投開票場の設置、人件費、選挙公報の印刷費などなどで8億円。
岩手県は四国4県と同じくらいの面積がある。
その広さで1人を選ぶ。
8億円すべて国費によるものとはいえ、
たった一人選ぶのに8億円……。
三鉄赤字といえば、こういうことが議会であった。
視察に行こう、と。たとえば、久慈市に。
行きましょう行きましょう、ということで、
マイクロバスを手配しましょう、と。
はあ?
「なんで三鉄を使わないんですか?」
釜石から久慈まで、三陸鉄道が通っている。
しかも乗客が少なく、赤字に苦しんでいる。
釜石市も三鉄に対して運行支援の交付金を出している。
市民からの税金を使って、三鉄を支えようとしている。
なのに、その三鉄を使わない? なぜ?
「不便だから」
「クルマの方が速い」
釜石の人たちとしては、ごく自然にそう考えるんだろうなあ。
たぶん無意識に、反射的にそう答えたんだろう。
むかし、元義弟から聞いたことがあった。
彼はプロ野球ならジャイアンツのファン。
わたしはアンチジャイアンツ。
かつては野球といえば巨人で、
テレビ中継は巨人戦ばかりだった。
選手の補強も巨額を投じて有力選手を集めてくる。
……なんてことが批判されていた時代もあった。
だから、アンチジャイアンツこそ正義、という雰囲気。
でも義弟がいうには、
東京で生まれて育てば、普通にジャイアンツファンになる。
ジャイアンツが好きでファンになるんじゃない。
物心ついたら「野球は巨人」なんだからしょうがない。
この論なんだろうな、鉄道とクルマも。
移動に鉄道じゃなくてクルマを選ぶのは、
好きでクルマを選ぶのではない。
生まれたときからクルマで移動しているから、と。