芝生、ビール、から揚げ、ラグビー
あっちこっちでイベント同時開催
すっきりと晴れたうのスタ。
これ以上ないくらいのすがすがしさ。
「おい!むらちゃん、お客さんにラグビー見てくれっていいにいくぞ」
でかいラバさんが、ハンドマイクを持って先に歩き出した。
ラバさん、日本代表のレジェンド的な選手だった。
釜石絆の日、最終日。
スタジアムの近くでは、産直販売の朝市がやってるし、
海辺のオートキャンプ場ではクラックカーが集まるイベントもやっている。
うのスタではラグビーのほかに、
2日連続のまんぷくフェスと、
この日は「働く自動車展」として、
パトカー、消防車、はしご車、自衛隊と海上保安庁の車両、
工事で使うクレーン車などに乗れるようになっている。
どんどんやってくるお客さん
9時の開門から少しずつ 少しずつ、
途切れることなくお客さんが訪れてきた。
わたしはラグビー応援団のボランティアとして、
スタジアム入り口の検温と手の消毒のお願い係をしていた。
最初は10時からの中学生ラグビーの選手たち、
青森の弘前から、岩手の北上からやってきた選手たち、
そして釜石の選手たちがやってきて、
そのあとに、一般のお客さんが。
ちいさな子どもたちといっしょの家族は、自動車の展示へ、
老夫婦やちょっと大きくなった子どもとの家族は、まんぷくフェスへ。
まんぷくフェスには、
釜石ラーメン、じゃじゃ麺、盛岡の冷麺、横手の焼きそば、
焼き鳥、牛肉の串焼き、ラム肉、韓国のチヂミ、
ジェラート、おだんご、わたあめ、あんみつ、
いろんな美味しいものがそろっている。
みんなにこにこして、うのスタにやってくる。
お昼近くになって、朝市が終わったこともあり、
入場者数はさらに上がっていった。
うのスタは2019年9月25日、フィジーとウルグアイ戦のときと同じく、
ワールドカップのように、いい感じでの賑わっていた。
楽しみ方はいろいろある
13時、釜石シーウェイブスの試合が始まっても、
食べるのを楽しんでいるみなさんが、
スタジアムのラグビー会場へ移動しない。
しびれを切らしたラバさんは、「むらちゃん いくぞ!」となった。
ところが。
「シーウェイブスの……」
ラバさんはハンドマイクでいい始めて、やめた。
白いアウトドア用の丸テーブルを囲んで食べている人たち、
テーブルの上にはいろんな料理が花を咲かせていて、
屋台の前には長い行列ができている。
いい天気。
「これはこれでいいか……」
これはこれでいいのだ。
まんぷくフェスをまんぷくになるまで楽しみ、
地元のアーティストの生ライブを聞いて、
ビールやら地酒やら、
気温が高くなってきたからかき氷やジェラートがより美味しい。
そのすぐそばで、ラグビーをやっている。
視界には入っているし、
トライのときやいいプレーのときの歓声で、
どうなったどうなった? と立ち上がってグラウンドの方を見てみる。
これはこれでいいのだ。
ラバさんは、喧騒の中お店の呼び込みの手伝いを始めた。
「から揚げ〜、揚がりましたから取りに来てくださ〜い、から揚げ〜〜」
いい天気。
わたしも休憩をもらって、
ラスイチになったから揚げを買って、
大行列のラーメン屋台でビールを買って、
グラウンドがバッチリ見える、ゴール裏の土手に座った。
小さなこどもたちが芝生の上を走り回っている。
こどもたちの嬌声と、グラウンドからの歓声。
ビールを開けて、から揚げを食べる。
美味い。
これがいいのだ。