創造性と関係性、わがままと思いやり、LOVEとPOWER
昨日「ないものはない」と書いたら、
長崎の母親から電話があって、
とても心配してる、と。
どうやら54歳初老の息子は、離婚されて家を追い出されて東北へ流れ着き、
困窮した寂しいやさぐれた生活をして、
借金取りにも追われていて、
それで「ないものはない!」と開き直っている、
と勘違いしてるらしい。
「だれか死んだって書いてあったばってん」
後鳥羽上皇ね、それは。
友だちじゃなかけん、後鳥羽上皇。
いまの話でもなかけん、承久の乱。
母、80歳。
ありがとう。
ということで、海士町の話の続き。
海士町にはUターンIターンの移住者が多く、
島はだんだん活気が出てきた。
その草分け的存在の阿部裕志さんが、
出版社を立ち上げた。
この時代に紙の本か、と思ったけど、
トヨタの若手エンジニアから
「人間回帰、自然回帰」
のために仕事をやめ、海士町に移住した阿部さんだからまあ、
それもありかな、と。
出版社「海士の風」の第1弾『進化思考』の出版を記念して、
著者の太刀川英輔さんと阿部さんとの対談がオンラインであった。
そこで阿部さんは、哲学者の内山節さんの
「人の本質は、関係性である」
という言葉を紹介してくれた。
ヒトほど弱いものはない。
力が弱いから動物に頼る。
食糧生産で牛や馬に頼るし、移動でもそれらに頼る。
犬にも「番犬」として頼る。
つまり、ヒトが人として生きる本質は関係性であり、
一人ではなにもできない、生きていけない。
阿部さんは、内山節さんの「人の本質は関係性」に賛同しながら、
同時に
「人の本質は創造性である」
ともいう。
創造性を発揮する中で、関係性を築いていく。
一人でもできる創造性と、一人ではできない関係性との間を
行ったり来たりの往復運動。
地域で生きるためにも、創造性と関係性が必要で、
それを「わがままと思いやり」と表現していた。
わがまま、は、自分のこだわり。
こだわりがなければ、移住してきたとてなにができる?
そのこだわりを届けるために、思いやり。
ご近所さんとの朝の挨拶、道ですれ違うときの昼の挨拶、
余分なものはおすそ分け。
困ったことは助け合い。
そうした思いやり、関係性がとても大事だ、と。
LOVEとPOWERとも。
LOVEは人間力、POWERは仕事力。
移住者のLOVEとPOWERを受け入れられる度量を、
その地域は持っているか。
創造性と関係性。
わがままと思いやり。
LOVEとPOWER。
地域で生きるには、これらふたつの往復が必要となる。