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おばあちゃんごめんなさい

道の先にヒザに手を当ててうずくまってる人がいた。
近寄ってみたらけっこう高齢のおばあちゃんだった。

「どうしましたか?」
と聞いた。
ここは「大丈夫ですか?」と声をかけてはいけない。
「大丈夫ですか?」
と聞かれれば、
「大丈夫です」
と反射的に答えるものだ、
とユニバーサルマナー研修でならった。

「どうしましたか?」
とおばあちゃんに聞いたら、
「歩き疲れた」
と。
「&%$〜=#から歩いてきたから」
聞き取れなかった。
「え?」
「&%$〜=#から」
やっぱり聞き取れない。
わたしが無言でいると、
「90歳だから〜」
おばあちゃんは、精いっぱいの笑顔になってそういった。

さて、と、
「郵便局いがねば」
ここから郵便局はそんなに遠くない。
「大丈夫ですか?」

言ってしまった!

「大丈夫。休み休みいぐがら。ありがとね」
案の定、「大丈夫」という返事。

「イスあるから、いくつも、途中に。疲れたら座って休んでね」
「ありがとね」

おばあちゃんはとぼとぼ歩き出した。
少し見送ってわたしも、おばあちゃんとは反対方向に歩き出した。
ほんのちょっとして振り向いたら、
おばあちゃんはまたうずくまってた。

戻ろうと1、2歩踏み出したら、
おばあちゃんは顔を上げて歩き始めた。

大丈夫だろう、途中の歩道にベンチがいくつかあるから。

しばらく歩いて気がついた。
ベンチがある道から郵便局に行く行き方と、
ベンチがない道からの行き方がある。

やってしまった。
防災士の試験後第1日目。
高齢者は「被災時要配慮者」にあたる。

サイテーのスタートだった。
(まだ合格判定受け取ってないけど)