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盛岡にて「旧姓カネザキ」さん

「お! 2019 KAMAISHI」

映画館から出て、スマホをいじっていたら、
背中から声をかけられた。

2019年ワールドカップのときのグッズをカバンにぶら下げている。

「やるほう?」
ファンキーな格好をしたおばあさんだった。
「見るほうです」
最近あんまり見てもいない。
シーウェイブスの試合は見るけど、
サンゴリアスもジャパンも早稲田も、
テレビなくなったこともあり、そんなに見なくなった。
(明日は早慶戦か)

ははは、と笑っておばあさんは歩いて去っていく。
「釜石のラグビーもよろしくね」
といいながら。

「釜石から来ました」
上着の刺繍を示しながら。

釜石から出るときはほぼこれを着てる

「そうなの?」
おばあさんは振り返って歩み寄ってくる。

それからしばらく、釜石の話。
おばあさん、釜石の出身。
V7時代の新日鉄釜石ラグビー部、
マツオがモリがイシヤマがホラグチが、
(もっといってたけど覚えられなかった)
街の様子もしゃべってた。
映画館があってデパートがあって、
新日鉄社員用のスーパー(購買部、っていってた)は、
幹部社員しか入れない時間帯があったり、
売ってるものも地元ではないようなハイカラだったり。

「旧姓カネザキ、いまはオカ」
定型文のなぞの呪文のように名を名のって、
じゃあねとお別れしたおばあさん。
旧姓を名のるほどのお年でもないだろうになあ、
と思ったけど、よほど生まれにこだわりがあるのか、
それとも 何かのメッセージなのかな?