コスプレはメタ認知である
日本を代表するコスプレイヤーのコノミアキラさんは、
日本を代表するスキー選手だった。
代表選手だった父親からの英才教育を受け、
どんどんスキーが上手になって、
オリンピックの強化選手に選ばれた。
スポンサーもついた。
誰もがうらやましいと思える待遇を得た。
だけど、それは同時に、
勝ち続けることを求められてもいた。
父のため、コーチのため、スポンサーのためのスキーであり、
父の期待、コーチの期待、スポンサーの期待に応えようとする人生だった。
その途中で、コスプレをしている人に出会った。
かっこいい、と思った。
輝いているなあ、と思った。
自分がときめくことをやってるんだろうな、と思った。
じゃあ、いまの自分はどうだ?
いつまでこんな生き方が続くんだろうか?
というところで、大ケガをしてスキー人生が終わった。
スポンサー収入がなくなり、
親にも頼りたくなくなり、
アルバイトをたくさんしながら生活をしていく一方、
コスプレに目を向けた。
マンガやアニメのキャラクターのコスプレをしてみると、
人からは奇異な目で見られるけれども、
そんな視線は気にしなくていい、と気がついた。
ものすごく解放された気分になるのと同時に、
自分で自分が見えるようになった。
かつての自分も見えるようになった。
期待に応えようとする自分。
タイムが伸びないのは自分のどこかが足りないんだろうと、
不足感にさいなまれる自分。
コスプレは自分をメタ認知させてくれた。
そしたら、自己肯定感しかなくなった。
これでいいのだ、と思った。
コノミアキラさんは、
「自分のことを知らないと、
ほかの誰かにはなれないよ」
という。
自分を知る、ということは、
ありのままの自分を受け入れる、ということだ、と。
「春休み大隈塾」で彼女をゲストにお招きしたゼミ生りことなっぷるの意図がわかった。
いまもってコスプレには興味が持ちにくいけれども、
コノミアキラさんのいっていること、
実践していること、ビジネスとして成り立たせていること、は共感できる。
同じ業界、同じくらいの年齢の人たちのことを、
ネットで記事を読んだり、SNSの書き込みを読んだりしたとき、
自分だって、ほかの誰かのようになりたいと思うことはよくあることだ。
でもそれは、スキー選手時代のコノミアキラさんなんだろう。
自分の中の不足している部分に目を向けているから。
欠けていること、人より劣っているところをふくめて、
ありのままの自分を受け入れることで、
「幸せな世界は自分でつくるんです」
とコノミアキラさんはいってた。
幸せの4因子を思い出した。
(ありがとう!/やってみよう!/なんとかなる/自分らしくありのままに)