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子どもを産むことの本質が男性にも理解できた。けど、問題はその先にある。

最近お子さんを産んだ友人に勧められて、
『メクルメクいのちの秘密 ピカピカの赤ちゃんが教えてくれた』(岡野眞規代 地涌社 2014年)を読んだ。

著者の岡野眞規代さんは、病院勤めのあと、
自然分娩で有名な吉村正先生の吉村医院で長く働いた、
助産師歴およそ40年のベテランさん。

吉村先生の方針は「ごろごろ、ぱくぱく、びくびくしない」。
過度に「安静」しない。ちゃんと食べる。いろんな情報に惑わされない。

吉村医院では、茅葺きの古民家があり、妊婦さんたちに開放されている。
そこで薪割りをしたり、ノコギリを引いたり、拭き掃除掃き掃除をする。
2時間3時間歩いてピクニックにいく。
そのとき用におにぎりをつくって、みんなで食べる。
食べたいものを食べること、とくに和食をどんどんたべましょう、と勧めるし、
みんなで体験談などの情報をシェアするし、
なにより助産師さんが常に寄り添ってくれているので安心。

この本を読んで、お産が医療行為ではないことを初めて知った。
自然分娩で子どもを産むことは特殊なことだと思っていた。
昔は自宅で産んだし、じっさいわたしも自宅で生まれたんだけど、
それは時代のせいだと、産婦人科医院がなかったからだと思い込んでいた。

「ごろごろ、ぱくぱく、びくびくしない」で過ごし、
いざ産むぞ、ってときは蛍光灯ピカピカのもとで産むよりも、
間接照明でほんのりの明るさで産んだほうがいい。

著者の考えや体験にはすごく共感する。

なぜ友人がわたしに出産の本を勧めたのかというと、
釜石には産婦人科がないから、釜石では子どもが産めない。
岩手県は釜石の県立病院に分娩機能を復活させる予定はしていないし、
釜石市も産婦人科の医者をリクルートする努力はしているが、
努力が実る見込みはない。

ならば、助産院をつくるのはどうか。
産婦人科がなくなって、助産院を復活させた自治体はある。
釜石に助産院を!

とわたしが考えているのを知っていたから、
この本をまず読んでね、と勧めてくれた。

読んでいちいち共感した。
けど、同時にだんだん不安にもなった。

釜石に助産院のニーズはあるのか。

助産院をつくったらすぐに「産婦人科ないから子ども産めない」問題が解決するとは限らない。
共感しながら読み進むほどにそれが重くのしかかってきて、
逆に苦しくなってしまった。