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ゼロ・ウェイストよりも、にこやかなありがとう

おでんの季節になってきた。
鍋が美味しい季節でもある。

おでんや鍋を食べようとスーパーに買い出しにいって、
おでんならつみれやいろんな練り物をたっぷり入れて、
鍋なら魚の切り身、お肉、豆腐、白菜、糸こんにゃく、きのこ。

ぐつぐつ煮立てて、味がしみてきて、
さあ食べよう、と。
準備ができて、調理道具を片付けて、
ふと見渡せば、
食材がのっていたプラスチックトレイのヤマ。
ということは、よくある。

京都の「斗々屋」にいった。

スーパーなんだけど、プラスチックのトレイやラップや袋を使わない、
コメも味噌も醤油もお酢も油も豆もハーブもスパイスも量り売り。

食材は、持参した容器に入れるか、お店で買う。

ゴミを出さない、ゼロ・ウェイストのお店。

量り方、取り出し方はお店の人が丁寧に教えてくれる。
とても丁寧に。
なれている常連さんばかりじゃなく、
ばかりじゃなくというより、うわさを聞いてやってくる人たちの方が多そうで、視察に来ている業界の人たちもわらわらいて、
お店のスタッフは一日にいったい何人の人に同じような説明をするんだろう、と心配になるが、とても丁寧に対応していた。

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量り売りの店というのは、手間がかかるなあ、と思った。
お客さんもいちいち自分たちで量らないといけないし、
お店の人たちは、説明したり補充したり、
だから普通のスーパーよりも多くスタッフを雇わないといけない(たとえば床面積あたり)から、経営者にとっても簡単ではない経営だろう。
三方良し、じゃなくて、三方めんどくさい。

でも、ゴミは確実に減る。
ゴミが減れば、ゴミを焼く量が少なくなる。
ゴミを焼く量が少なくなれば、
ゴミを焼いたときに出る二酸化炭素の量が少なくなる。

手間を惜しむか、生命を惜しむか、
という二元論もいいけど、
メディアはCOPの会議を無視したり、
首相はCOPの会議で「化石賞」とかもらったり、
それをことさらに強調するのもいいけど、
レジ袋もらわないからって何が変わるわけじゃないかもしれない。

環境が大事、って、
目くじら立ててまなじり結しているわけじゃなく、
トレイもラップも使ってないし、
レジでいちいち「袋いりますか?」とは尋ねず、
お客さんにはレシートも発行しないぐらい徹底しているけど、
「お店の中の写真撮っていいですか?」って聞いたら、
どうぞどうぞ、ってにこやかに答えてくれて、
やり方がわからないお客さんにはどこまでも丁寧に、
店を出るときには「ありがとうございます」っていってくれて、
気持ちのよさが、心に残った。

にこやかなありがとうは、ゼロ・ウェイストより大切だなあ、
と思わせてくれるお店だった、斗々屋。

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