おもてなしはリーダーシップだ
みかさんが嫁いだ先は小さな温泉旅館で、
しょんぼりしたお宿だった。
となりの庭園と美術館にはわんさと人が来るのに、
なぜかその旅館にはお客さんが少ない。
そこで若女将となったみかさんはブログを書き、SNSで発信し、
地元の安来節どじょうすくい踊りの師範になり、
踊るおかみさんで有名になって、メディアにばんばん取り上げられた。
お客さんが宿泊するようになってしょぼんとした旅館は元気になり、
みかさん本人はしまね観光PR大使を務めるまでになった。
もちろん、有名女将がいるからだけで商売V字回復したのではなく、
旅館の設備とサービスの向上あってのこと。
バツグンの「おもてなし」があってのこと。
だから、リピーターがどんどん増えていく。
じゃあ、みかさんを釜石にお招きして、
「おもてなし」を学ぼう、というイベントがあった。
そこで学んだこと。
みかさん流「おもてなしのこころ構え」。
①感謝。とくに、ご縁に感謝する。
②仕事に誇りを持つ。
③5つのS(誠実、正確、親切、スマイル、スピード)
④笑顔とこころのゆとり
⑤お客さまの立場に立って考え、行動する
⑥独自の個性(自分自身、組織、地域)
⑦期待以上の内容とスピード
⑧安全と衛生
⑨なにごとも連携プレー
⑩取り引き業者さんたちに対しても感謝
⑪「明日からやろう」はお客さんには通用しない
⑫クチコミの効力:情報発信もおもてなしの重要なポイント
大隈塾のリーダーシップ研修もコミュニティの活動も大学の授業も、
基本にあるのはホスピタリティだとわたしは思っているので、
みかさんの「おもてなしのこころ構え」はとても学びになる。
②笑顔とこころのゆとり
につながるんだけど、
「仕事中は自分の表情を意識しましょう」
みかさんはいう。
口角を上げて、眉間にシワを寄せず、やさしい目元で。
身だしなみも。
「どこかで誰かが見てますよ」
これを聞いて思い出したのは、
唐の太宗李世民の言行録『貞観政要』にある「三つの鏡」のエピソード。
リーダーには三つの鏡が必要で、
三つとは、「普通の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」、のこと。
「普通の鏡」は、自分を映して顔色は悪くないか、元気そうか、楽しそうか、
ニコニコしているか、表情をチェックする。
身だしなみも大事。
「歴史の鏡」は、歴史は繰り返す、学ぶべきは過去にある。
ビスマルクの「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と同じ。
最後の「人の鏡」は、たとえリーダー、上司であっても、
ちゃんと戒めてくれる、諫言してくれる人がいるかどうか。
鏡を見て表情をチェック、
歴史観を持つ、
厳しいメンバー、パートナーを大事にする。
おもてなしは、リーダーシップのひとつだ、
と学んだ。
そういえば、東京オリンピックも「おもてなし」だったはずだけど、
あれはどうだったんだろう。
thanks to:島根県安来市の温泉旅館「竹葉(ちくよう)」の小幡美香さん(3代目女将)
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