伝統の神楽……寒かった!
神楽を観にいった。
岩手県の宮古市にある黒森神社。
そこの神楽(黒森神楽)は、国の無形民俗文化財に指定されている(2006年)。
気温は極寒。平地で-3℃ぐらいだったから、
山の上にある黒森神社はそれ以下、
風も吹いていたから、たぶん体感温度なら-10℃とかいってたんじゃないかと。
そんなかで外にある舞台で舞う神楽。
最初は「清祓(きよはらえ)」。お祓いの舞(トビラの写真)。
神楽をちゃんと観るのは初めてなので、
むちゃくちゃ楽しみにしていたけど、寒い!
寒いけど、なんか感動する。
踊りって、わたしは指先に注目するタチで、
阿波おどりの女踊りの手のひらのカタチはキレイだなあ、
といつも思う。
日本舞踊にしろバレエにしろ歌舞伎にしろ、
手の所作につい目がいってしまう。
そういう意味では、次の「松迎え」は男性2人での舞いだけど、
指先がビシッときまったキレイな踊りでよかった。
正月の門松にするために山に入っていって松を取ってくる、
という内容なんだけど、
踊っている若い2人が実は、
この神楽を後代に伝えるために真剣になっていて、
しかも宮古市の出身ではない、というから、
広域に伝統文化民俗を保存伝承しようという、
とてもめでたい物語もついてきた。
ここでお囃子方からMCが入った。
「さむくねか?」
もちろん寒いが、そんなことはいえない。
「ねかったら、もうひとつやるから」
わかった、次でラストね。よかった。
と始まった恵比寿舞は、七福神の恵比寿さまが魚釣りにでかけるシーンで、
観客参加で、十分に楽しめた。
さあ終わった、と思ったら、
最後にもうひとつ、権現舞。
神様の仮の姿といわれる権現(獅子頭)で、
黒森神社の神霊を移したとされている。
舞ったあとにアタマをかみついてくれて、いい邪気払いになった。
もともと黒森神楽は、沿岸地域を回って、
希望者の家の前で踊って悪魔祓いをする。
1年交代に北回り(宮古市〜久慈市)と、
南回り(宮古市〜釜石市)を繰り返す。
1678年から始まった、ともいわれている伝統の神楽。
去年と今年はコロナの影響で中止。
今回は2年ぶりにコロナ終息と住民の幸福を願う「千願祭」として初めて開催された。(朝日新聞DISITAL2022年1月4日付を参考)