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お惣菜屋からはじまったオシャレな街づくりの物語

新潟市の沼垂テラス商店街。
もとはシャッター通り商店街だったのが、
すべて新しいお店としてシャッターが上がった。
いまは商店街の外にまではみ出して、
空き家・空き店舗で若者がオシャレなショップを開いている。

はじまりは商店街の道向こうにある大衆割烹。
そこの2代目田村寛さんが、完全シャッター商店街の空き家のひとつに
お惣菜とソフトクリームのお店をつくった。
翌年、となりにカフェができた。
カフェはDIYでつくられていったので、
お店のメイキングドラマがリアルにみることができた。
なので、またその翌年、カフェのメイキングを見ていた陶芸家が、
自分の作品と陶芸教室をやるお店をつくった。

ずっと、SNSで発信をし続けてもいた。

3年かかって3つのお店ができたら、
メディアがちょこちょこ取り上げるようになった。

惣菜屋「ルルックキッチン」オープンが2010年、
カフェ「ISANA(イサナ)」が2011年、
陶芸のお店「青人窯」が2012年。
沼垂(ぬったり)という味わいのある地名と、
ノスタルジックな外観をメディアで見た人たちが、
新潟駅から徒歩20分というアクセスの良くないところに通うようになり、
出店希望者が続々と現れるようになったら、
実態はなく形式だけ残っていた商店街組合が、
出店制限をかけた。

たぶん、おもしろくなかったのだろう。
若い人たちが、自分たちの地域に入ってくるのが。
若い人たちが、自分たちの歴史に入ってくるのが。

田村さんは粘り強く交渉し続けたら、
「ぜんぶ買い上げればいいじゃない」
と、組合の重鎮からいわれた。

それまで書いたことはなかったが、事業計画書を書いて、
地元の銀行に持っていったら、
政府の地方創生政策もあって、銀行は融資をしてくれ、
めでたく残りのすべての空き店舗を買い上げ、
もともとここが醸し出していた雰囲気を残しながら、
かつての人の暮らしの上に、いまの人が暮らしを受け継ぎ、
2014年には28店舗の「沼垂テラス商店街」としてリスタートした。

ここでしか出会えないモノ・ヒト・空間

閉じた長屋が商店街として息を吹き替えしたその次は、
コミュニティとして広がっていき、
新潟のまちにムーブメントを起こしていく。

お惣菜屋からはじまった、あたたかい物語。