狼男として夜に忍ぶーー『Werewolf Tycoon』の巻/藤川Q・月刊ムー通
ムー民の皆様にファミ通の怪人編集者こと藤川Qがムー的なゲームを紹介する本コーナー。今回取り上げる作品は、公園のベンチに隠れながら人を襲う狼男になる『Werewolf Tycoon』。
文=藤川Q
世界中にさまざまな形で伝わる人狼伝説。ゲームでも、対話で嘘つきを探し出す「人狼ゲーム」が有名で人気も高い。だが、今回ご紹介する『Werewolf Tycoon』は、人狼を見破るといった知的遊戯などではなく、プレイヤー自らが狼男となって通行人に襲い掛かる! というという”どシンプル”なステルスアクションゲームだ。
日暮れの公園のベンチの裏に潜みながらチャンスを伺い、市民が通りかかったタイミングで画面をタップすると、毛むくじゃらのウェアウルフと化した自分が躍りかかり、哀れ犠牲者を丸のみにしてしまうのである!
ゲームの目的は、日暮れから日の出までの時刻にどれだけ多く人々を襲えるかに挑むもの。犠牲者の数はカウントされていくため、いわゆるハイスコアを目指してちまちま遊ぶのが楽しい。
ちなみに、一日ごとのプレイ結果はゴシップ新聞(?)にて「公園で謎の失踪事件!」的な報道として表示されるのだが、これがかなりいいフレーバーとなっている。
だが、狼男として悪事を重ねるうえで、この新聞報道はネックでもある。本作でハイスコアとなる犠牲者数が増加することで、公園には取材のために記者が数多くやってくるようになるのである。万が一、記者たちに姿をさらして写真を撮られてしまった場合、その記者を逃がしてしまうと、なんと動かぬ証拠から、翌日に軍隊が派遣されてくるのだ。軍隊にベンチを包囲されれば命運も尽きてゲームオーバー。たとえムー編集部の記者だとしても、写真を撮られたならば生かして帰すわけにはいかないのである。
と、本作はなんとなく往年のレトロゲームやアーケードゲームのように気軽にスコアを狙えるタイプのシンプルな遊びながらも、狼男としてコソコソしなくてはならないという世界観と、嵐のように犠牲者に襲い掛かるという体験が秀逸だ。
また、本作のビジュアルも、スーパーファミコン世代には郷愁を誘うかのようなていねいなドット絵のアニメで描かれており、非常に心地よい。
ちなみに、プレイ中にはUFOが飛んでくることもあったりするなど、かなりムー民の皆様のスマートフォンにインストールしていただきたい小粋な作品となっている。無料なので、ぜひ狼男の興奮と悲哀をお楽しみあれ。
(本作のムー民度★★★☆☆)
公園を通行する人々の中には、大会社のビジネスパーソンなどもおり、うまく襲えれば特別なアイテムが入手できることも。余談だが、人を襲わないでいると餓死してゲームオーバーだ。
(C) Joe Williamson
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