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サイバネティクスで人類変容!『サイバーパンク2077』のSFオカルト要素をインプラント/卯月鮎・ゲームー案内
書評家・ゲームコラムニストの卯月鮎がオカルト、超常現象、不思議が詰まった話題のゲームをムー的に紹介。このゲーム、ほかとはひと味違う!
文=卯月鮎 #ゲームー
『サイバーパンク2077』
退廃的な未来都市が舞台のオープンワールド
オープンワールドRPG『サイバーパンク2077』は、2020年12月に発売された注目の大作。世界的にヒットしたダークファンタジーRPG『ウィッチャー』の開発会社、ポーランドのCD PROJEKT REDの新作です。往年のテーブルトークRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』の世界観を踏襲しています。
発売当初はPCに比べて不足するコンシューマ機のスペック事情もあり、バグや強制終了などのトラブルが頻発していましたが、修正プログラムが当てられ徐々に改善に向かっています。バグへの不満が渦巻いているものの、一方で作り込まれたサイバーパンク世界を高く評価する声も数多く聞かれます。
物語の舞台は怪しいネオンが瞬く高層ビルが建ち並び、巨大企業やギャングたちが抗争を繰り広げる退廃的な未来都市・ナイトシティ。主人公のV(ヴィー/性別選択可能、出自も3種類から選べる)は、不老不死をもたらすとされるチップ型のインプラント「Relic」を回収する仕事を請け負うが……。
緻密に表現されたディストピア都市を自由に歩き回れるオープンワールドゲーム。まさに画面のなかには別世界が広がり、ムー的キーワードが山盛りです。今回はそのなかから3つをピックアップしました。
退廃的な未来都市・ナイトシティ。
ヴードゥー
ナイトシティを縄張りにするギャングのなかでも、ハイチ系の移民からなる「ヴードゥー・ボーイズ」はハッキングが得意な集団。『サイバーパンク2077』のストーリーのカギを握るグループのひとつです。
現実世界でのヴードゥーはハイチの民間信仰で、アフリカの精霊(ロア)信仰とローマ・カトリックが習合したことで生まれました。かっちりとした教義は存在せず、神官(オウンガン)が呪術を行う魔術的色彩が強い信仰となっています。
このヴードゥーがSFに登場するのは、サイバーパンクという概念を創り上げた作家・ウィリアム・ギブスンのSF小説『カウント・ゼロ』で、精霊ロアたちが電脳空間の神々として描写されたのが大きな理由。ギブスンはインターネットが普及する前に「サイバースペース」という言葉を作り、その概念を浸透させたことでも知られ、映画『マトリックス』もギブスン作品の影響を受けています。
デジタルゴースト
キアヌ・リーブスさん演じるジョニー・シルヴァーハンド。
『サイバーパンク2077』の主人公・Vはチップ「Relic」強奪の仕事で瀕死となり、「Relic」を自分の頭に挿して復活します。しかしそのなかには伝説のロックスターでテロリストの意識が残されていました……。キアヌ・リーブスさん演じるこの人物は主人公だけに見え、語りかけてくる「デジタルゴースト」という設定です。
死後に電脳空間に残される意識とは“誰”のものなのか……? もともとIT世界には「デジタルツイン」という用語がありました。これは現実世界の都市環境などを双子のようにコンピュータ上で再現すること。たとえばシンガポールでは、政府機関が「バーチャルシンガポール」という試みを進めているそうです。
これが人間にも適用され始め、デジタル的に個人を再現し、医療や大企業のマーケティングなどに活用される未来が近づいているとか。
そうしたデジタルツインとして作られた人格が、本人の死後も生き続けることで「デジタルゴースト」となり、現実世界に影響を与えることが十分考えられます。マイクロソフトはデジタルデータに基づき、亡くなった人の声をまねるチャットボットの特許を申請しているとか。ネット世界での“心霊(ゴースト)体験”は今後増えていきそうです。
トランスヒューマニズム
ナイトシティでは身体拡張は当たり前に行われている。
『サイバーパンク2077』のナイトシティは、身体拡張をするインプラントが当たり前の世界。主人公もインプラントを装備して強化していきます。
現実にも科学技術によって人間の生物学的限界を超越した存在を目指す「トランスヒューマニズム」という考え方があります。
肉体にチップやLEDを自ら埋め込むボディハッキングが行われており、元祖トランスヒューマンのひとり、イギリスのコベントリー大学の副学長、Kevin Warwick教授は皮膚下のチップによって、触れるだけでドアを解錠し、部屋のライトを自動点灯させるのだとか。
これまで“超能力”と呼ばれてきた能力を、実際に身につける人々が増えてきたら、世の中はどうなってしまうのでしょうか……。
2077年、人間の定義とは? 『サイバーパンク2077』は、ひとつの可能性を臨場感たっぷりに体験できる1本です。
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