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薬剤師の資格を使用して病院で働いています。 勤務先にて2023年度から労働者代表をして…

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薬剤師の資格を使用して病院で働いています。 勤務先にて2023年度から労働者代表をしています。 これまで頭の中だけで考えてきた、社会や環境への思いを文章に出来たらと思っています。 小説も少し書いています。

最近の記事

至近距離での

今年の冬は寒かった。 冬の毎朝の徒歩通勤に、手袋は欠かせない。  私は手袋を一つしか持っていないので、毎日使い、週末に洗うようにしている。 しかし、先週末は洗うのを忘れていたため、昨日帰宅後に夜に手洗いし、ベランダに干しておいた。 そして今朝、家を出る直前に、干したままだった事を思い出し、急いで取り込むが、まあまあ濡れている。 乾かそうと思い、ストーブの前に急いだ。 しかしそこには先客がいた。妻だ。 やむを得ない事態なので、横に体を捻じ込ませ、手袋を乾かす。 妻は

    • 眼科のせんせい

      私は部活を引退した高校3年生後半頃から視力が落ち、それ以来コンタクトレンズを使っている。 私は土日祝も診察しているという理由で、とある眼科に5年程通っている。 以前は半年に1回眼科を受診し、レンズを処方してもらっていたが、近年は1年に1回だけになった。 頻度が減った理由は、そこの眼科の先生だ。 医院に入り、受付を済ませ、待合室で待つ。 ほどなく呼ばれ、処置室のようなスペースへ移動する。 そこで、スタッフの方が、視力検査や機械で見え方を確認してくれて、レンズの度数や

      • 家族短編小説「すきま」

        私の家族は皆トイレにカギは掛けない。  何故なら、ドアの一部がすりガラス状になっており、誰か入っているのかがおおよそ気配で分かるので、その必要がないからだ。 私は今朝トイレに入って用を足していた。 昨日の夕飯の辛めのキムチ鍋のせいか、今日の私は用を足すのに手こずっていた。 すると、こちらに近づく小さな足音が聞こえてくる。 それはトイレの前で止まった。 しばらく動かない。 「誰だっ」 とっさに私は叫んだ。 そして、ゆっくりとほんの少しだけトイレのドアが開く。室内に

        • 時代妄想小説「月見櫓」

          「月夜は敵も攻めて来ぬか」 私は櫓(やぐら)の外から、闇夜に浮かぶ美しい月を見上げ、感慨深くつぶやいた。 私は農業で生計を立てる家庭に生まれた。 幸い、食べるものには困らなかったが、毎月藩主の取り立てに苦しんでいる両親を見るのは居た堪れなかった。 しかし、城に仕えるようになれば、この国を変え、皆平等な扱いを受けられるかもしれない。 そのためには強くなるしかなかった。 私の家は城からはかなり離れていたが、私は特段に視力が良かったため、日々城の周囲で行われている剣士達の鍛練

        至近距離での

          お隣さんは留守なのに

          日曜日 お隣さんは朝からみんなでお出かけだ そこへトラックやってきた 荷物を届けにやってきた 帽子のおじさんがピンポーン お隣さんは留守なのに トラック来たみち帰ってく お昼にも、小さなトラックやってきた 荷物を届けにやってきた 帽子のお兄さんがピンポーン お隣さんは留守なのに やっぱり来たみち帰ってく こっそり置いて帰っちゃえ 手紙残して帰っちゃえ それでもみんな持ち帰る お隣さん 荷物があったら嬉しいよ それか、もし、ぼくに預けてくれたなら、あとでちゃんと

          お隣さんは留守なのに

          しんけいすいじゃく

          先日、小学1年生の娘がダイソーでトランプを買ってきました。 そして私は10年以上ぶりに、トランプで遊びました。 皆さんもそうかもしれませんが、トランプ自体、高校生くらいまではやっていた気がしますが、社会に出てからは何故か全く触れなくなったのではないでしょうか? 今回やったのは神経衰弱。 子どもの頃は 「しんけいすいじゃくしよー」 「やるやるー」みたいな感じでした。 しかし大人になった今、改めて 「しんけいすいじゃく」を漢字にしてみると、当然のことながら「神経衰弱」。

          しんけいすいじゃく

          年が変わるということ

          12月31日から1月1日へ、また1つ年が進んだ。 新しい年を迎えたと言うけれど、私としては、向こうからやってきた年とただすれ違っただけだ。 それも毎回伏し目がちに軽く会釈するくらい。 時が進んでしまうのが怖くて、できることなら向こうから近づいて来る年から逃げてしまいたい。 いつか、カモーンとハグしたいくらいの、満ち溢れた気持ちで、やってくる年を迎えたい。

          年が変わるということ

          生活妄想小説「スーパー」

          月曜の仕事帰り、近くのスーパーへ寄った。 翌朝食べるパンや夕食後のスイーツを買い物かごに入れ、足早にレジに向かった。 レジは4台ほどあり、どれも空いている。 私は会計している客の買い物カゴの中身を瞬時に分析し、すぐに進みそうなレジに並んだ。 私が並んだレジの店員は、スーパーのレジ打ちとしては珍しく、若い男性だった。 遠目から見た感じは、丸メガネをかけ、ゆるくパーマをかけており、現代風のおしゃれな雰囲気を醸している。 レジはすぐ進むと思っていたが、その店員は親切にも、高齢女

          生活妄想小説「スーパー」