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ピアノを習うと勉強ができるようになるって本当?
ピアノを習っている子は勉強もできているように思う
私の嫁は、自宅でピアノ教室を開いている。子どもたちの成長を見守るのは楽しい反面、教える苦労もあるようだ。そんな嫁が言うには、ピアノをずっと続けている子どもたちは、学校でも「できる子」が多いという。
確かに、私の経験上でも、学校の学級発表会や音楽会でピアノを弾く子どもは、総じて成績が良い印象がある。ピアノと学力には何か関係があるのだろうか?
脳科学的には、ピアノを弾くことで左右の手足を別々に動かす細かい作業が脳を刺激し、活性化させると言われている。これが学力向上につながる可能性は否定できない。ただ、それだけが理由とは思えないのだ。
もっと現実的な要因として、「ピアノを習わせ続ける環境」を挙げたい。ピアノ教室に通うにはある程度の経済力が必要であり、さらに家庭の中で子どもに練習を続けさせる教育的なサポートが不可欠だ。これらの環境が整っている家庭の子どもたちは、そもそも勉強にも集中できる土壌があるのではないだろうか。
子どもの視点から見ても、ピアノの練習をコツコツ続けられる粘り強さや集中力があれば、勉強でも同じような成果を出せるはずだ。つまり、「ピアノを習う」ということは、ある意味で「学習への取り組み方」を測る指標とも言えるのかもしれない。
ところで、近年ピアノ教室に通う子どもたちの数が減っている。少子化の影響で、嫁の教室も生徒の確保に苦労している様子だ。そこで私は、「ピアノを習えば勉強もできるようになる」というキャッチコピーを入れた宣伝ポスターを提案してみた。しかし、これはあえなく却下された。
「うちは、純粋に音楽を楽しんでもらうための教室だから、余計なことはしないでほしい」と嫁に一蹴されてしまったのだ。どうやら、ただ生徒を増やせばいいというわけではなく、嫁には「音楽の楽しさを伝える」という軸がしっかりとあるらしい。
だからこそ、教室を続ける上での信念として、無理に迎合することを避けているのだろう。
結果的に私はポスター作成を諦めたが、嫁のそんな姿勢に少しだけ感心してしまった。ピアノと勉強の関係を考えるのは面白いけれど、それ以上に大切なのは、「音楽を通じて子どもたちの人生を豊かにすること」なのだろう。