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小学校でおこなっている写生会をかんがえてみた その2回目

写生会の絵を紹介します その2


小学3年生に神社仏閣をどう描かせるか?
私の挑戦は、まず「神社とは何か」という根本を考えるところから始まりました。
半世紀前、自分が子どもだった頃の記憶をたどってみると、神社はただの建物ではありませんでした。むしろ、放課後の最高の遊び場だったのです。

神社=遊び場+ちょっと怖い場所
思い返せば、町の神社ではいろんな遊びが繰り広げられていました。
・境内の片隅に隠してあった一斗缶を使ったベーゴマ遊び
・神社の林での木登りや秘密基地作り
・そして、中高生が軒下に隠していた「禁断(エ○)の本」を見つけてしまうという衝撃的な体験
夕方、日が暮れかけると誰もいない境内に取り残される怖さ。けれどもその「怖さ」には、何か自然や神秘を感じさせるものがありました。神社には、人知を超えた空気感が漂っていたのです。
この体験を、子どもたちにも味わってもらいたいと思いました。そして、それを絵に描かせられたら素晴らしいものになるはずだ、と考えました。


那智大社で「だるまさんがころんだ」計画
私がまず取り組んだのは、神社の静けさと遊び心を両立させる方法を探すことでした。そこで思いついたのが、子どもたちと一緒に那智大社で「だるまさんがころんだ」をすること。
このアイデアを保護者通信で伝え、「子どもたちに楽しく学ばせたい!」という思いを共有しました。そしていよいよ、大門坂を登り、那智大社へ向かったのです。
すると驚いたことに、那智大社で働いている保護者の方が出迎えてくれました。
「先生、よくいらっしゃいました。一般の方には見せない特別な場所をご案内しますね。」
なんと、社の奥へ通され、普段は見られない貴重な部分を教えてもらえることに!
例えば、男神と女神では社の造りが異なるという話など、私自身が知らなかった神社の奥深い世界に触れることができました。実際に見て、聞いて、体感すると学びが一段と深まります。


時間切れのドタバタ
しかし、時間は無情にも過ぎていき、遊ぶどころか、帰らなくてはならない時間に。
予定していた「那智大社で堂々と遊ぶ計画」は叶いませんでしたが、大門坂を全速力で駆け下り、なんとか給食に間に合わせました。
それでも子どもたちは諦めません。
給食中、「だるまさんがころんだをやりたい!」という声が上がり、午後は学校近くの神社で遊ぶことにしました。
・だるまさんがころんだ
・鬼ごっこ
・木登り
境内いっぱいに広がる笑い声。子どもたちは夢中になって遊び、その場所に漂う神秘的な空気も自然と感じてくれたようです。


体験が絵に命を吹き込む
こうして遊びながら神社での体験を深めた子どもたち。その後、描いた絵には、建物から描き始めるのではなく、まず自分たちが何をしているのかをメインテーマに描き始めさせました。すると「自分たちがそこにいる情景」がしっかりと表現されていました。遊びや発見を通して得た感覚が、画面いっぱいに生き生きと描かれていたのです。

次回は、この絵を展覧会に出品したときの様子や結果についてお話しします。お楽しみに!


小学校3年生 2学期に描いた絵
小学校3年生 2学期に描いた絵
小学校3年生 2学期に描いた絵