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図画における作画方法 構図につて考えてみた

今回は小学校の図画における構図を考えてみる

「いい絵」とは何でしょうか?
多くの人が「いい絵」と感じる条件を考えると、それがかなり個人的な感覚に依存していることに気づきます。たとえば、「なんとなく好き」「いい感じ」といった曖昧な表現でしか言い表せないことが多いものです。
そこで、あえて「いい絵」と感じる要素を言葉で表現し、説明することに挑戦してみましすね。異論があるかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。


1. 人物を複数描くことで広がりを作る

絵に人物を一人だけ描いた場合と、複数描いた場合を比べると、後者のほうが「広がり」を感じることが多いです。しかし、子どもたちは「二人以上を描くのは難しい」「面倒だ」と感じることもあり、避ける傾向があります。では、なぜ複数の人物を描くと絵に広がりが生まれるのでしょうか?

視覚の動きがポイントです。
人間は複数の人物がいると、それを自然と見比べようとします。この過程で眼球が画面上を動き、その動きが脳に「広さ」を感じさせると思うのです。一方で、人物ではなく背景に物をたくさん描いた場合、広がりをそれほど感じないことがあります。背景の物は脇役として漫然と認識され、脳があまり注目しないからではないでしょうか。

ではどうすればよいか?
広がりをもたせたい場合は、人物を複数描くことが効果的です。逆に、集中させたい場合は、人物を一人に絞るのも一つの方法です。さらに、描かれる人物や物の距離感にも注意を払う必要があります。対象同士の距離が遠いと空間が広がりすぎて、かえって絵が小さく感じられることがあります。これは、描かれた対象が小さく見え、全体のスケール感が失われるためです。

アドバイス:
背景処理に迷ったら、人物を描くか物を描くかで迷いを振り切りましょう。広がりを強調するか、集中を促すかを基準に選ぶと良いでしょう。


2. 重なりを使って奥行きを表現する

子どもたちにとって、人物を重ねて描くのは難易度が高い技術です。特に低学年では、人物同士を重ねることを避け、あえて線を交差させずに絵を描く傾向があります。これはこれで独特の空間感を生むことがありますが、人物の配置が硬直することがあり、絵に広がりや面白みが欠けてしまうこともあります。

そこで「重なり」が重要になります。
重なりは絵の奥行きを表現するうえで非常に効果的な手法です。奥行きがある絵は、より魅力的に感じられます。しかし、この「重なりによる奥行き」の感覚は、実は文明社会で生活する人々が学習を通して身につけたものです。例えば、テレビや写真、絵本などを見て育つことで、重なりから前後関係を認識し、それを空間として広げる感覚が養われていると思うのです。

例として、文明社会に触れたことのない部族では、重なりを奥行きとして認識しない場合があるという研究結果もあります。


つまり、重なりを使った奥行きの表現は学習が必要であり、子どもたちにとっては少し挑戦的な技術かもしれません。それでも、立体感や奥行きを作り出すために、大いに活用すべき手法です。


3. バック処理や構図に迷ったときのヒント

ここまでの内容を踏まえると、構図や背景の処理に迷ったとき、次のポイントが役立つでしょう。

  • 広がりを出したい場合:複数の人物を描き込む。

  • 奥行きを出したい場合:重なりを意識して物を配置する。

こうしたアドバイスを活かして子どもの作品に目を向ければ、広がりと奥行きの両面から作品を深める手助けができるはずです。「空間が空いている」「奥行きが足りない」と感じたとき、これらの方法を取り入れることで、より魅力的な作品へと導けるでしょう。


こうやって書いていくと、図工は感覚的にするものでなく、ある程度、理屈を知っているだけで指導が明確になっていくというのがわかると思います。


管理職として、学校作りに役立つと思って、いろいろ取り組んできました。でも、和歌山県は私には厳しい県で、こんな経験を生かすことなく退職を迎えていくことになりそうです。

ブログで紹介していることが少しでも役立てばいいのですが、やはり、実際に私が目の前で話をして、具体的なことやものを見せる方がより伝わるので、そこが残念です。


ほぼ誰も見ないようなブログですが、億分の一の確率で役立ては嬉しいですね。