見出し画像

図画指導で学級づくり・保護者との連携を図る おもしろことできますよ

小学校でマグロの解体をした!


マグロの水揚げ日本一を誇る町で小学校に勤務していたときの話です。

私の絵画指導のテーマは、子どもたちが自分たちの生活を見つめること。その一環で、マグロの競り市場を見学し、その様子を絵に描いてもらいました。子どもたちは活気あふれる市場の雰囲気を感じ取り、それを画面いっぱいに表現してくれました。具体的な描かせ方については、また別の機会にお話ししたいと思います。

さて、この絵を活用して行った取り組みがひとつあります。それは、子どもたちの絵を写真に撮り、コラージュして「まぐろ祭り」のチラシコンクールに応募することでした。その結果、なんと大賞を受賞!そのデザインが実際のチラシとして採用されました。


このチラシに使用された絵は、小学校3年生の子どもたちが描いたものです。我が町の生活感が、子どもたちの生き生きとした筆使いで見事に表現されていると思います。副賞として、なんと温泉の入場券(人数分)と35kgのマグロ1本が贈られました。

懇談会でのやり取り
実は、この取り組みをしていたときから、すでに夢が膨らんでいました。参観日の懇談会での一場面をご紹介します。
「実は、後ろに飾っている絵をチラシコンクールに応募しているんですよ。それで、賞品がもし当たればマグロ1本なんです。」と私が話すと、
「先生、もしマグロが当たったら、家はお店をしているからさばけるよ。みんなに解体するところを見せようか。」
「すごいなー。そんなんしてもらえたら、子どもらも喜ぶと思います。」
「先生、そうしたら、カブト焼きとマグロ汁もしようか。」
「先生、家にはイベント用のお椀やお皿があるから持ってくるよ。」
「先生、余ったマグロは持って帰れるようにパックも持ってくるよ。」
と保護者の皆さんが次々と話を広げてくれました。
そこで、私が思わずツッコミをいれしまいました。
「おかあちゃん、おかあちゃん。まだ応募しただけだよ。取ったような気になっても仕方ないよ。」
「そうですね。はははは......」
と笑いが広がりました。
 
親子行事の成功
そして翌学期の懇談会で、結果を報告しました。
「応募したみんなの絵が大賞を取りました!親子行事でマグロの解体をお願いします。」
「おおー!先生、すごい!」
と喜びの声が上がりました。
こうして、家庭科室でのマグロの解体とマグロ料理づくしの親子行事が実現しました。

当日は、子どもたちよりも親御さんたちのほうが盛り上がっていました。解体を見せてくれたとき、見事な包丁さばきに歓声が上がり、その後のカブト焼きやマグロ汁も大好評でした。

ただ、この経験でひとつ学んだことがあります。それは、家庭科室でマグロを解体すると、1週間は匂いが取れないということです。その匂いは魚臭いというより、どちらかというと獣臭に近い強烈なものでした。おかげで、家庭科室の換気のために朝夕窓の開け閉めをする日々が続きました。
 

絵画指導に対する考え


絵画指導の話を聞く機会があると、上手な子どもの作品だけを例示して、まるですべての子どもがそのように描けるかのような話をする方もいます。しかし、私はそうしたくありません。そこで、指導の際には全員の作品をさらけ出すことにしています。

全員が満足できる指導法が存在するのかと問われれば、答えは難しいものです。児童が一人であれば結果は100%か0%の二択になってしまいますが、多様な子どもたちがいる現場では、失敗も成功も含めてすべてを公開し、指導方法を検討することが大切だと考えています。

そうすることで、より良い指導を目指し、全員の成功に向けて取り組みを改善していくことができるのではないでしょうか。

さて、今週は、この子たちの絵を4枚ずつ紹介していきます。
当時、保護者にネット上で公開してもいいと許可をもらっています。


小学校 3年生 1学期に描いたもの
小学校3年生 1学期に描いたもの
小学校3年生 1学期に描いたこと
小学校3年生 1学期に描いたもの

いいなと思ったら応援しよう!