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国語科における戦争教材について思うことあり

60歳という時間軸で考えると……あら不思議!

教科書には、戦争を題材にした教材が数多くありますが、これをどのように扱うかが常に課題になります。

年配の教諭はリベラルな考えを持つことが多く、どうしても戦争に対して強いこだわりを示しがちです。しかし、ここで注意が必要です。国語科で扱う教材は、戦争という状況を理解することを求められますが、戦争そのものを学習するためのものではありません。戦争に関する内容は、社会科で扱うべき問題です。

ここがとても重要なポイントです。戦争の悲惨さを強調しすぎて、教材の内容から離れてしまう授業をいくつか目にしてきました。この点については十分な注意が必要です。


さて、私自身の戦争に対する感覚が変わった経験がありますので、ここで少し触れてみたいと思います。ある日、若い先生方に次のように質問しました。

「戦争って、昔々のことだと思いますか?」

すると、ほとんどの先生方は「戦争は今から80年も前のことで、とても昔の出来事だ」と答えました。実を言うと、私自身も若い頃は、戦争を大昔のことだと思っていました。高度経済成長期に生まれた私は、戦争なんて自分とは縁遠い話だと感じていたのです。

ところが、今60歳になって振り返ると、戦争は私が生まれるわずか20年前に終わった出来事です。20年前と言えば、今の私にとっては最近のことのように感じます。例えば、私が40歳だったのはほんの少し前のことのように思えるからです。

こうして考えると、戦争は実は私の人生にとって非常に身近な存在だったのだと気づかされます。そして、この気づきは、戦争を題材とした教材の読み取り方にも影響を与えます。


時間軸という視点で考えると、年齢を重ねるごとに過去の出来事に対する認識が変わることがわかります。実年齢によって、これまで抱いていたイメージががらりと変わるのです。とはいえ、私自身が昭和生まれであるため、明治や大正といった時代は、いまだに大昔の感覚のままです。

なんとも、年を取るというのは不思議なものです。