ギガスクール構想について教員の立場で物申す2 14年前から問題は同じでは・・・
14年前に書いた一人一台の資料 その1
約14年前、和歌山県ではT21プロジェクトという計画が始まりました。これは、県内の僻地にある学校をパソコンで繋ぎ、一人一台のパソコンを支給して学習効果を検証するというもので、企業の協賛もあり、資金も十分にありました。これ、子ども向けのパソコンの開発も兼ねていたと思います。しかし、支給されたパソコンは海外の試作モデルで、キーボードには日本語の表記が一切ありませんでした。
さらに、研究の信頼性を高めるため、各校に大学の教授が一人ずつ派遣されていました。当時私は40代半ばで怖いもの知らずだったので、自分の考えを文章にまとめ、大学の教授と研究の方向性について話し合おうとしました。何せ、教授と言っても私より年下ですから。なんと不遜な考えしかできなかったのか・・・。
しかし、その文章を校長に見せたところ、「生意気だ。大学の先生に失礼だから破棄しなさい」と言われました。今、その文章を読み返してみると、なかなか面白いと感じます。少し長いので、5日に分けてお伝えします。
タブレットパソコンの研究に向けてのメモ 2010.10.6
使ってみて気になったこと
起動時間が長い
登校時に係の児童が電源を入れるシステムを導入して、起動時間を短縮しようとしていますが、問題があります。立ち上げ時にプログラムの更新を要求されることがあり、子どもたちはそれが気になって仕方がありません。誤って更新ボタンをクリックしてしまうと再起動が始まり、朝の15分のドリル時間が無駄になってしまうこともあります。
CPUの性能不足
このパソコンのCPUでは、Windows 7のようなOSは負荷が大きすぎるように感じます。スマートフォンやシャープの電子書籍端末「GARAPAGOS」のように、OSをAndroidにした方が良いのではないかと思います。使えるソフトウェアが限られているだけに、なおさらそう感じます。
文字認識の問題
「ドラゼミ」という学習ソフトを使用するとき、画面に直接書き込めるようになっています。しかし計算問題や漢字の読み取りを画面上で書く際、入力画面に書いた文字が正しく認識されないことがあります。ゆっくり書き直しても、うまく認識されず、イライラすることが多々あります。特に、計算問題では読み取ることができるように書くための技術が子どもに要求されるので、この問題は早急に改善してもらいたいです。
入力ペンが細すぎる
このパソコンは学習用に作られているはずなのに、入力ペンが細すぎて鉛筆のように使えません。筆圧をかけにくく、字を丁寧に書くのが難しいです。以前、ある児童が小さなゴルフの鉛筆を使って勉強しようとしたことがありましたが、まったく形状が似ています。使いにくい道具では学習に支障をきたします。学習用機器であるなら、入力ペンの設計にはもっとこだわるべきです。
低学年児童の使い勝手の問題
低学年の児童は手が小さいため、タブレットのペンで書き込むところに手のひらを置いてしまい、手のひらの誤入力が発生します。この年齢層は鉛筆の持ち方をしっかり教える時期でもあるため、この問題を解決しなければ、低学年児童にとって使い勝手が悪いと言わざるを得ません。
通信速度の問題
無線LANでインターネットを使った調べ学習をする際、マシンパワーや通信のトラフィックの問題なのか、表示に時間がかかりすぎます。また、パソコンごとに表示速度にばらつきがあるようです。教室での学習の効率を考えると、処理速度の向上をぜひ望みます。
今振り返ると
この文章を読むと、当時の課題を通じてChromebookのようなデバイスを予見していたように感じます。
ただし、今使っているChromebookも低学年の児童には少し重すぎると思います。