境界線を超えた先、
真っ青な空の下で水平線の上をスキップするかの如く軽やかに歩いている白い服を着た私がいる。
暖かい光がさす。
大気にはオーロラを煮詰めたような粒がキラキラとラメのように輝き舞い、しかし私の歩の邪魔をすることなくひらひらと避けては道をゆずってくれる。
静寂に包まれた世界。誰もいない、動物たちすらも。たった独りきり。
連続する風の音が前方からやってくる。それを真正面から受け止めると、大きめのシャツの裾がヒラヒラとはためいてまくり上がる。しかし、誰もいないここでは気にする必要も無いかとそのまま風に向かって歩いてみる。

果てのない、
天国みたいな幸せな悪夢。私の世界では無い綺麗な世界。

何処までも歩いていく。この残酷な美しさを噛み締めて。苦痛のない何処かを目指して辿り着いた場所で。

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