見出し画像

地獄のような人

増田ぴろよさんの展示「くらしの地獄」へ。
くらしの地獄… 暮らしの中の地獄…

私が小さい頃、地獄教育というのがあったと記憶しているのだが、現在はどうなっているのだろう。
嘘をつくと、舌を抜かれたり、悪いことをすると地獄の絵を見せられて
こういう世界に行くんだよと言われた。
子供にはとても恐ろしく、悪いことをしてはいけない!と強烈に思った。

そんな私にとって、地獄という言葉はトラウマとなって心の奥に暗く広がっており、地獄という言葉に反射的に拒否反応を起こす。

しかし、大人になってみたら地獄としか思えないようなシチュエーションを、山のように経験してきたと胸を張って言える私になっていたのだった。

最近でも、それを体験したところだった。

その地獄とは、ほとんどが天国のような姿や形やシチュエーションとして現れるのがほとんどだ。

地獄のような人間は、ニコニコしながら平気で嘘をつき、人を平気で傷つける。
初めは、ほとんど気づかないが、少しずつその姿が現れてくる。
表情が一瞬で変わるその時を見た時は、いやいや、そんなはずはないと自分のひらめきを否定してしまう。
そして、いよいよ本性を見せてくれる時は、あまりにもひどすぎて笑ってしまうのだ。
あまりにもありえないシチュエーションに。
そんなことがこの世の中にあるんだ…と感心している場合ではない。

早く、その場やその人間から離れるのが賢明だろう。
しかし、そう簡単にはいかない。
これもまたひとつの地獄かもしれない。
思い出すのは、三島由紀夫の近代能楽集の中にあった一文

「綺麗は汚い、汚いは綺麗」

シェークスピアの「マクベス」から引用されたセリフらしいが、一面で物は見えない。

ぴろよさんの展示を見ていて、初めは怖く感じた地獄という文字だったがよく考えれば、すぐに地獄と教えてくれる地獄は優しい。

本当の地獄は、見えないように静かに天国のように振る舞い、虚のようにそこにいる。

気をつけましょう

って私が気をつけろ!

いいなと思ったら応援しよう!