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沖縄「ジャングリア」とディズニーランドのマーケティングとホスピタリティ

東京ディズニーランドの最高運営責任者であった上澤昇元オリエンタルランド副社長が、開園10周年の頃に、雑誌のインタビューで語られた一言が忘れられません。

記者:「ライバル(自らを脅かすもの)」となるのは?

上澤副社長:エンドレスに高まっていくゲストの期待だ。

東京ディズニーランド40周年の今日、運営するオリエンタルランドの「ライバル」は慢心と焦り、そしてマーケティングになってしまったと思わずにはいられません。

本noteでは、ディズニーランドのマーケティングについて私の見方を記します。結論はエンドレスに高まるゲスト(リピーター)の期待に応えるものはホスピタリティであるということです。

【一問一答】新テーマパーク「ジャングリア」沖縄にこだわる理由は?運営会社のCEOが描く展望 - 琉球新報デジタル (ryukyushimpo.jp) 更新日時 2023年11月28日 14:12
加藤健史代表取締役CEO

 -USJの進出計画が出発点だった。
 「森岡(毅・刀CEO)は、3段ロケット構想を打ち立てていた。1段目で本体を成長させ、2段目で関西依存の集客構造から脱却し、3段目で関西以外の複数の場所で事業を展開する。会社の方針転換で実現に至らなかったが、当初から沖縄が最有力地だった」

<中略>

 -社会課題とは。
 「観光立県でありながら、マーケティングの視点で観光事業を支えられる人材が足りていない。テーマパーク運営に携わることで飲食、物販など多岐にわたるキャリア形成が可能になる」
<引用終了>

森岡氏はマーケティングのプロフェショナルと認識しています。事実として低迷していたUSJをV字回復させたのは森岡氏であり、西武園遊園地をリニューアルしたのも森岡氏です。そしてジャングリアも森岡氏の実績がなければ実現不可能であったでしょう。

それでも私は、ホスピタリティの視点から「マーケティングの視点で観光事業を支える人材」という表現に疑問を抱いています。

その理由は、テーマパークはリピーターが「命」であり、マーケティングで集客しても、広告宣伝費などのマーケティング費用が業績を圧迫する恐れがあると考えるからです。

実際に、2001年の東京ディズニーランドのリピーター率は97%でした。マーケティングに力を注いでいる現在は不明ですが。

多くのリピーターを得るのはマーケティングではなく、ホスピタリティであるということを少し。

過去の講演録から。

<世の中の変化とは>
1、「今日の成熟した顧客は、商品やサービスそのものだけでなく顧客自身が心から満足する時間・体験に対してお金を払う」という時代へと変化した。

2、接遇現場では「物を売る、サービスを提供するという考え方」から「顧客に最高の満足と喜びを与える」ということに意識を変化させていかないと競争に勝ち残れない。従来の組織運営に関する意識も「接遇現場重視」に切り変えていく必要がある。

3、接遇現場においては、顧客に「ここまで思いやりの心を込めるか」と思って頂くことが大切ある。これからは、同業者に「そこまでやっているのか、まいったな」と思わせることができる企業、事業所だけが発展していくことになる。

4、ホスピタリティの環境づくりこそが、リピーターや生涯顧客を生み出す秘訣であり、ディズニーランドの成功の真因である。そして、ホスピタリティの環境づくりを成功させるためには、ディズニーランドや一流ホテルなどのホスピタリティをベンチマークすることが肝要なのである。

上記の内容を含め、通常の物質的豊さを求める商品の場合にはマーケティングです良いのですが,テーマパークで過ごす「時間という商品」の場合、精神的豊かさ、快適さに応えるのはホスピタリティ(サービスに人間の思いやりの心が加わったもの)でなくてはならない、私はそう考えます。

繰り返しますが結論は、エンドレスに高まるゲスト(リピーター)の期待に応えるものはホスピタリティであるということです。

最後に、いつかnoteしたい「普天間基地問題にディズニーを政治利用」に関連することを記しておきます。

USJ、沖縄進出撤回 県と政府に正式伝達 「大阪に集中」 - 琉球新報デジタル (ryukyushimpo.jp)
2016年5月12日
 沖縄進出が表面化した直後の14年9月に、当時の仲井真弘多知事とユー・エス・ジェイ幹部が非公式に面談し、沖縄進出に関する課題などについて意見交換した。15年3月には、本部町の国営海洋博公園周辺を調査していることが浮上した。同5月末に和泉洋人首相補佐官とユー・エス・ジェイの森岡毅執行役員がそろって海洋博公園を視察するなど、官邸も関わる形で同公園での計画が急速に進められた。

仲井眞弘多 - Wikipedia
辺野古の埋め立て承認
2013年12月25日、東京で安倍首相と会談し、米軍普天間飛行場の代替施設として名護市辺野古の埋め立てを27日に承認する意向を固め、振興予算を予定通り確保できたとして、安倍首相に対し「私は応援団」「有史以来の予算」「驚くべき立派な内容」「これは良い正月になる」と発言した[28][29][30]。
<引用終了>

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