「天国のお子様ランチ」
「天国のお子様ランチ」エピソードから、日本人だけが持つと言っても決して過言ではない「おもてなしの心」を学んで欲しい、本noteはそのことだけをお伝えしたいと思います。
「天国のお子様ランチ」
数年ぶりに主人とディズニーランドに遊びに行きました。この日は、1年前に亡くした娘の誕生日であり命日でした。娘はからだがとても弱くて、生まれて間もなくこの世を去ってしまったのです。
主人とずいぶん長い間、深い悲しみにくれました。助けてあげられなかったこと、なにひとつ我が子にしてあげられなかったことがいまでも悔やみきれません。
「子どもが生まれたら、ディズニーランドに連れてきたい」という夢を果たすこともできませんでした。そこで主人と話し、その日は供養のために訪れたのです。
実家を出る前にガイドブックを見て、かわいいお子様ランチがあることを知りました。それを娘にぜひ食べさせてあげたいと思い、ワールドバザールにあるイーストサイド・カフェに入ったのです。ところが、そのお子様ランチは8歳以下の子どもにしか注文できないメニューだとわかってすぐにあきらめました。ディズニーランドはとてもマニュアルがしっかりしているところだと聞いていたからです。ただ事情だけでも知ってほしくて、ついお店の人に話してしまいました。
するとお店の人は「では3名様、こちらへどうぞ」と言いました。
そして隣の4人掛けテーブルに子ども用の椅子を置き、私たちを笑顔で迎えてくださったのです。「本日はよく来てくださいました。どうぞご家族で楽しんでいってください」
その方はまるで我が子がその場にいるように、私たちをもてなしてくださいました。私は感激で胸がいっぱいになり、その場で涙があふれてしまいました。おそらく主人も同じ気持ちだったと思います。これで娘がいたらどんなに幸せだっただろう。
お店の方々にとても親切にしていただいて、かわいいお子様ランチも食べられて、娘もさぞ喜んでいただろうと思います。本当にありがとうございました。あのときのお礼をどうしても言いたくて手紙を書きました。
娘は天国にいってしまったけれど、これからも愛し続けて、一生一緒に生きていこうと思います。また娘を連れて、そちらへ遊びに行きたいです。
東京ディズニーランドはアメリカ文化そのものですが、パーク運営には日本古来の「おもてなしの心」が加えられていました。
マニュアルも同じです。以下の引用文を「道徳」の参考にしていただければ幸いです。
マニュアルとはいうのは、サービスを標準化あるいは定型化して、サービス全体に一貫性を持たせようとする「思想」です。
米国流のマニュアルサービスには「心」があま感じられず、サービスを行う人間の「自分(個性や自主性)」にも乏しい気がしたのです。
私は、米国流のパターン化されたマニュアルサービスではなく、こうした日本独自の文化、伝統、慣習に基づく深い精神性や、日本人の繊細で鋭敏な感性に合致する「おもてなし」の接遇術。それこそがTDLのサービスに必要なのではないかと考えたのです。
マニュアルは米国ディズニーランドが独自に構築し、所有する、施設運営のための基本ソフトであり、知的財産の中核をなすものです。それを日本側が勝手に変更したり、手を加えることはできません。
私たちがやったのはマニュアルを変えるのではなく、マニュアルを「超える」ことでした。
そのマニュアル以上のものの正体が、一合一会の精神に源を持つ、日本独自の思いやりや気配りの心だったのです。
『魔法の国からの贈りもの』
エピソードにつて
「天国のお子様ランチ」エピソードは、常務取締役時(1983~91年)の前㈱オリエンタルランド会長加賀見俊夫談を、中国生産性本部 『経営の質を高める講演録(2000年)』に記載された『写真立てと子供椅子』エピソードと、2008年8月発刊の、元(株)オリエンタルランド副社長上澤昇著『魔法の国からの贈りもの(PHP研究所)』掲載のエピソードを参考に、本当に東京ディズニーランドであった心温まる話として再現したものです。
「天国のお子様ランチ」エピソードは、一部中学校の道徳の授業で使用されています。今後、押さえるポイントについてもnoteしていきたいと思います。
著作権について
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教育機関における複製等(第35条)
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「4人掛けのテーブル」とお子様ランチのイラスト ヒラノトシユキ
ヒラノトシユキ | PROFILE (hiranotoshiyuki.jp)
『魔法の国からの贈りもの』 元(株)オリエンタルランド副社長 上澤昇著
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中村むねひら
自己紹介 中村むねひら 「お前は何者だ?」|中村むねひら (note.com)