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56歳退職記念ヨーロッパひとり旅8 ベットに寝ないスペイン人の男

 2024年10月19日朝8時、目が覚めるとホステルの屋根裏部屋には私とイスラエルの青年だけいた。そういえばスペイン人の男も同室だったはずだったが、部屋には2人しかいない。イスラエルの男性はまだ寝ている。せっかく世界一美しい街に滞在しているのだから、朝の散歩に出かけようと起こさないよう静かに準備をした。

ホステルの屋根裏部屋

 部屋の外に出ると大イビキが聞こえる。2階の部屋を出ると狭い廊下の真ん中でバックパックを枕に寝ているスペイン人らしき男が大イビキをかいて寝ている。私はその寝ている男を大股でまたいで越えた。廊下中ものすごい酒の匂いがした。スペイン人はどうやら昨晩、飲みすぎて部屋のベットまでたどり着けなかったようだ。 イスラエルの青年は、自国の農場で働いていて、半年働いて、半年バックパッカーのような生活をしているらしい。実にうらやましい働き方をしている。彼は今日、朝早くチェコからポーランドをとおりバルト三国に自転車で出発する予定だと夕べ話していた。まだ寝ていたので起こすかどうか迷ったが、静かに部屋を出ることにした。ここはヨーロッパなのでなるべく他人に干渉しないようにしたい。

お城の入り口

  チェスキークロムロフの天気は残念ながら曇り時々晴れといったところ。建物はカラフルで小さくこじんまりした綺麗な街だ。観光客がどっと押しかける前に主要なところは見ておきたい。また、7時間時差の日本の妻へ生存確認をしなければならない。せっかくなのでチェスキークロムロフ城の景色の良いとこでlineで妻と衛星中継をしておきたい。
 午前9時を過ぎると街中のホテルから次々と中国人団体客が大きなスーツケースを引きずって出てくる。この人達が行く前に、先にチェスキークロムロフ城の見晴らしの良い場所に行きたい。

城内

 チェスキークロムロフ城には門番のように熊が2頭いた。緩やかな上り坂を息を切らしながら歩いていく。城内に入るともう既に団体客がガイドと共に沢山いる。残念ながら一番見晴らしの良い場所は占領されている。
 しょうがないのでベンチに座りながら妻とlineをしながら順番が来るのを待つことにしたが、ここは日本ではない、順番でという概念はない。写真を団体客の隙間から数枚撮り、その場を退散することにした。この街はどこに行っても綺麗だ。
 民族衣装を着た地元の人たちはとても気さくで、お願いすると気さくに写真を撮らせてくれる。今日は地元の公民館的なところでイベントがあるらしい。




中世の街並みが今でも残っている。まるでタイムスリップしたように歩いているだけで楽しめる。

 

街並み


 夕方、ホステルに戻り、どん兵衛を食べていると”しらふ”に戻ったスペイン人が、「いい匂いがする。食べたい。」というので1つ、御馳走することにした。彼は自分の持っていたホークで「うまい、うまい」と汁まで全部食べた。お礼に「今晩1杯おごらせてくれ」と飲みのお誘いを受けたが、明日の朝が早いのと、私はお酒が苦手で飲めないことを話し、丁寧にお断りした。彼は残念そうに夜の街へ1人繰り出していった。


宿泊したホステル

 次の日はレンタカーをウィーンへ返す日だ。安全運転のため、夜9時半、早めにベットに入る。
 朝5時に起きると彼は部屋にいなかった。まさかと思い。荷物を背負い宿の廊下に出ると、前日と全く同じ光景があった。スペイン人の男は自分のベットにたどり着けずにまた、廊下で寝ていた。「じゃ、良い旅を!」と声をかけると「バーイ」と酔っぱらいながら言った。誘いに乗らずに正解だった。 

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