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【13日目】『恐怖』のトリセツとアタマの働き(カンジョウのトリセツ)

◆怖いものが「怖いもの」であるメカニズム

 怖いものが「なぜ怖いのか?」というと、前回のABC理論で考えると

「怖がっているから」

という結論になるわけですが、こう言われてもピンとこない、という人は多いんじゃないかと思います。それほど、このことが「当たり前」(=無意識の信念)としてアタマに定着しているのです。ですから以前ABC理論を紹介したときの例で、もう一度考えてみましょう。

 あのときの例は「犬を怖がる人」でした。もう一度ABC理論に当てはめてみると

A(出来事)=犬を見た
B(信念) =( ? ? )
C(結果) =犬を怖がる

でしたね。このとき、B(信念)の( ? ? )はどんなものでしか? 正解は

B(信念)=犬は怖い生き物だ

でした。ほら、こういうことなんですよ……僕たちは「怖いもの」に対して

「怖いものだ」と『自分で決めている』

んです。

 あのときも例に出しましたが、犬を怖がらない人の場合はこのBが

B(信念)=犬は人間に優しい生き物だ

くらいのものだから、C(結果)が「怖がらない」になるわけです。

 そもそも僕たちは感情そのものをアタマでコントロールできないんでしたね。なぜなら、アタマとココロは『別のパーツ』だからです。だから感情を変えるためには、アタマの中に眠っているこの「B(信念)」を変えないといけない、という話だったんです。覚えていますか?

 こういう理屈で、冒頭の「怖いものがなぜ怖いのかというと、怖がっているからだ」という結論になるんです。この

自分自身の『当たり前』に気づく

ところが、恐怖感をコントロールする第一歩になります。

◆「怖いときの自分」のトリセツ

 とはいえ……恐怖というものは「モトがすっからかんの状態」でしたよね。恐怖を感じているその時、というのは、ココロにモトが全然足りていません。ココロがモト不足になると、ココロがネガティブな感情に支配されてしまって、他のことができなくなるものです。

 ですから……恐怖を感じているその時は、まず

「逃げて下さい」

世の中には怖いものがたくさんあるものです。怖い気持ちになること自体は生物の本能なので悪いことでもなんでもないので、ひとまず恐怖の対象から距離をおいて下さい。怖がらなくする訓練はその後でも十分だし、そもそもココロがモト不足の状態だと有効な訓練はできないはずです。まず、ココロのモト不足を解消して下さい……そのために、モトを吸ってくる対象から距離をとって下さい。場合によっては、物理的に遠くに逃げて下さい。

 生物が何かを「怖がる」のは、身を守るための自然な反応です。たいていの動物は火を見たら怖がりますよね? あれも本能です。人間にももちろんこういう本能はありますので、暗闇だとか、暴力だとか、オバケだとか、そういうものがすぐ身近にあるなら、一旦は距離を取りましょう。そうして、自分のココロをできるだけモトで満たして下さい。怖いものから距離をとって、安心感を得られるだけで、モトの量はグンと回復します。

 回復したら、一旦冷静になって、それから「怖いもの」を「怖がっている自分」と向き合ってみましょう

 たしかに世の中には「怖いもの」はたくさんあるのですが、その範囲が広すぎると社会生活に大きくマイナスになってしまいますよね……たとえば「他人が全員怖い」「家から出るのが怖い」なんてことになってしまったら、もう生活どころの話ではなくなってしまいます。

 ここで扱わなければならないのは、三つのパーツのうち「アタマ」です。なぜならさきほど挙げたとおり、僕たちが考えてコントロールできるのは三つのパーツのうち「アタマ」だけだからです。

◆「怖がらない」アタマはどう動いているのか

 ではこの「アタマで恐怖をコントロールする」とは、どういうことなのでしょうか? 丁度いい例がさきほど出ましたので、そのままそれを使って話を進めましょう。それは

「火」

です。大抵の動物はこの「火」を怖がるものです。なぜなら、熱いし光るしパチパチいうし、つまり彼らにとって「謎の現象」だからです。特に、熱いんだから触れるとヤケドしたり死んでしまったりするかもしれません。

 一方で人間はどうかというと、この「火」を日々お料理や暖房やお風呂で活用していますよね? 全く怖がっていないわけではないですけれど、この「火」というものは上手にコントロールすれば便利な道具として使うことができますからね。

 どうしてこんなことができるのかというと

『火とはどういうものか』という知識

があるからです。知識なんだから、当然「アタマ」の働きですよね。このときアタマがどう動いているかを、例によってABC理論で見てみると……

A(出来事)=ガスコンロに火をつけた
B(信念) =ガスコンロで火をコントロールできるから安全
C(結果) =火は便利、怖くない

こんな感じになるはずです。このときのB(信念)が動物たちのように

B(信念)=「火」ってなんだ!? 熱い!!

だったら、きっとC(結果)は

C(結果)=怖い! 料理ができない!

となるはずですよね……僕たちはこのように、アタマの働きによって「恐怖」をコントロールしているんです。具体的には、恐怖の対象がどういうものかを「知識」で理解して「適切に怖がっている」のです。

 このB(信念)に気づいて、今あなたの目の前にある「恐怖」の対象を見つめ直してみましょう、という話なんですね。

 では次回は、キッチンなどに出没する「あの昆虫」を例に、もう少し恐怖の感情についての話を続けます。

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日南本倶生(みゅんひはうぜん)
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)