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【15日目】『寂しさ』のメカニズムとモトの「消滅」(カンジョウのトリセツ)

◆『寂しさ』にも「メカニズム」がある

 では今回からは

「寂しさ」

のメカニズムについて考えていきます。この「寂しさ」も前回までの「怒り」や「恐怖」と同じように、好き嫌いゲージが「嫌い」側にあるときの感情です。

 この「寂しさ」という感情には、モトのとある性質が関係しています。入門編で書いたのですが、それは

モトは消滅することがある

という性質です。

◆モトの「消滅」が起こるとき

 「消滅」というとちょっとギョッとするかもしれませんね。でも実際にモトは「空間から突如消滅してしまう」という性質を持っています。ほら、モトは『二番目のモトあつめ』で空間に突如「出現」することがあるんでした。これと逆の現象である「消滅」も起こる、という話なんですね。思い出してください(この「出現」「消滅」の仕組みはエキスパート編でくわしくお伝えします)。

 さて、僕たちが寂しさを感じるときというのは、だいたい一人で過ごしているときですよね。そんなときどうして「好き嫌いゲージが下がる」のでしょうか?
 まず、僕たちはアタマを使って周囲の様子を常に監視しています。そうすることで身に危険がないか注意を払っているわけですが、その結果としていつも周囲にある「何らかの何か」に『注目』しています。たとえば

・目の前のマグの汚れ
・床に落ちたゴミ
・台所の洗えてないお皿
・お湯を沸かしているヤカン
・回っている洗濯機
・流れている音楽
・ついているテレビ
・壁に貼っているポスター
・家族やペットの様子

こういった「自分以外の何か」であったり、

・明日のスケジュール
・今日のこれからの予定
・現在の体調
・昨日起こった出来事
・昔の思い出
・今いない人のこと

こんな「自分のアタマの中で起こっていること」にも、僕たちは「注目」しているんです。

 注目している、ということは、ココロがモトをそちらに向けて発射しているということです。飛んでいってしまうんです。
 特に不思議なのは「自分のアタマの中で起こっていること」にも、モトは飛んでいってしまう、ということではないかと思います。不思議ですよね……「将来の自分の予想」なんかにも、モトを飛ばしてしまうんです。

 こうして、一人で過ごしているときというのは、モトをどんどん何かに向かって飛ばしています。飛んでいったモトはどうなるか? というと、飛ばした先に「受け取ってくれるココロ」がないと、

消滅してしまう

んです!

◆『寂しさ』のメカニズム

 これが何を意味するのかというと……一人で過ごしていると、ココロのモトの量が少しずつ、少しずつ減っていく、ということを表しています。好き嫌いゲージでいうと、じわじわ「嫌い」側に動いていく、ということです。

 こんなときに、好きな映画やお気に入りの音楽で気分をアゲたり、面白い漫画やゲームで楽しい時間を過ごせたり、ゆったりした感覚でリラックスできていれば、自分の周りにモトを生み出す『二番目のモトあつめ』が起こるんでしたね。そういう過ごし方ができていれば、モトの減少は食い止められます。
 ですがそういうわけでもなく、なんとなく退屈していたり、つまらない家事をイヤイヤやっていたり、テレビの内容も特に見ていないけど点けていたり……そういう過ごし方をしているとどんどんモトが減っていき、そのうち好き嫌いゲージの半分を下回ってしまいます。そういうときにココロが出す感情(=モトあつめの命令)が

「寂しさ」

なんです。

 この「なんだか寂しいな」という気持ちが起こってきたら、どんなことをやりたくなるか……思い出してください。誰かに連絡しようかな、と思ったり、好きな音楽や映画でリフレッシュしようとしたり、どこかへ出かけたくなったり……。
 こういうことを「やる」ことで「モトを補いなさい」というココロの命令として出てくる感情がこの「寂しさ」なんですね。このメカニズムをよく覚えておいて下さい。

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日南本倶生(みゅんひはうぜん)
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)