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【17日目】かまってちゃんの特効薬『遅らせツール』(カンジョウのトリセツ)

◆モトの増減という「計算」でココロを読む

 モトが減ると、人間イライラするもんです。どの人のココロも「モトを減らしたくない」と常に思っているからです。
 ですから、こちらが寂しいからといって「かまってちゃん」になって相手の注意を引きすぎると、相手のモトが減ってイライラさせてしまいます

 こういうことも「モトの増減」という【計算】から導き出されます。今までなんとなくばく然と「こういうことは相手をイラつかせるかな」と考えていたようなことに「理由」「必然性」が見えてくるんです。

◆かまってちゃんと「ゼロサムゲーム」

 ではこの【計算】を使って、相手をイライラさせない「かまってもらう」やり方について考えていきましょう。こういうときにやはり重要になってくるのが『二番目のモトあつめ』なんです。

 モトは『一番目のモトあつめ』で増やすと、どうしても相手のモトを吸ってしまうんです。その結果、こちらが増やした分だけ相手が減らしてしまうことになります。こういう「トータルでプラスマイナスゼロ」になるような状況

「ゼロサムゲーム」

というのですが、一番目のモトあつめは必ずゼロサムゲームになります。この状況を防ぐためには、どこかで『二番目のモトあつめ』を行う必要が出てくるわけです。

◆自分一人で増やすモトあつめの「限界」

 一つの方法としては「自分一人で増やす」というのがありましたね。
一人で行うレクリエーション、例えば

・ハイキングに行く
・映画を見に行く
・何か美味しいものを食べに行く
・好きな漫画を一気読みする
・今週一位の小説を買ってみる
・いいヘッドホンで音楽を楽しむ

などなど、一人で『二番目のモトあつめ』をする方法はいくらでもあるといえばあるんですよ。

 ですが……そもそもすでに「寂しくなっている」のですから、それはココロにモトが足りなくなっていることを表しているのでしたね。

 繰り返しになりますが「寂しさ」というマイナスの感情が出ている、ということは、好き嫌いゲージが半分以下に下がっている、ということを表しているんでした。つまり「もう「足りていない状態」になっている」ということでしたね。
 この状態では「一人でモトを増やす」のはなかなか難しいと思うんです。そもそも「足りてない」のですから、娯楽に取り掛かるのもなかなかおっくうな気分だと思うし、そこから自分一人でテンションを上げて楽しくてウキウキするような気分になるには、どうしても普段のレクリエーションよりもっともっとたくさんのモトを集めなければならなくなります

 ですから、前回書いたとおり「誰かに助けてもらう」のがとても手っ取り早く、有効な手段ではあるんです。すなわち、誰かのココロからモトを分けてもらって自分の好き嫌いゲージを上げるのが、ココロのエンジンをかけて『二番目のモトあつめ』につなげていくためにも、一番の近道だったりするんですね。

 ここでさっきの「かまってちゃん」になってしまえば、結局は全部『一番目のモトあつめ』になってしまい、ゼロサムゲームで相手のモトを減らしてしまうため、相手をイラつかせたり、怒らせてしまったりするんです。どうすればいいのでしょうか。

◆かまってちゃんの特効薬『遅らせツール』

 こういうのにも世の中いろいろな「良い方法」があると思うのですが、今回はその中の一つをご紹介しますね。これは僕が

「遅らせツール」

と呼んでいるテクニックで、僕自身、普段からよく使っています。

 誰かと話をしたくなった時、まず自分の話題を用意しますよね? たとえば

・今日こんなことがあったよ!
・今日〇〇ちゃんと会ったよ!
・今日こんなモノ買ったよ!
・今日〇〇に行ったよ!

こういう感じです。寂しくて「かまってちゃん」になってしまっているときは、こういうことを「いきなり」話してしまいがちになります。
 話しかけられた相手は、一方的にあなたの話を聞くことになります。それに興味があるかないかに関わらず、です。こうすると、相手はあなたに一方的に注意を向けることになり、その結果として「モトが減って」しまいます……モトが減るので、聞いているうちに少しずつイライラしやすくなります。相手が疲れていたり、話題になんの興味もわかなかったら、なおさらです。

 そんなときは「遅らせツール」の出番です。まず、自分の話したいことを一旦「飲み込んで」しまいます。そして、同じような話題を

「先に話してもらう」

んです。上の例で考えると

・今日どんなことがあった?
・ここんとこ友だちと会った?
・最近何か買い物した?
・こないだの休み、どこかへ出かけたりした?

という具合です。こうして、自分が話したいことと同じことを、質問として相手に投げるのです。

 こうすると、相手は少し考えて、それから自分の話を始めます。自分の話をするんだから、あなたは一旦「聞き役」になりますよね。こうやって自分が相手に注目することで

「自分のモトを先に少しだけ分けてあげる」

んです。そうすると相手は少し気分が良くなる(モトが増えるから)ので、話し終わったあとにこちらの話を聞いてくれやすくなるし、聞いてもイライラしにくくなります。

 その手順で自分の話を始めて、もし相手がその話を気に入ってくれたら、相手は「面白いなぁ」と思って『二番目のモトあつめ』を始めてくれます。そうなると……ほら、『良いモトの循環』が始まるのです。

 このように、『良いモトの循環』というのは、工夫次第で「作り出す」ことができます。この「遅らせツール」は、そのためのとても便利な方法だと思うので、ぜひ日常で使ってみてくださいね。

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日南本倶生(みゅんひはうぜん)
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)