アボカドの色
食べものの好き嫌いが驚くほど多い。
私のことだ。
加えて、気に入ったものならば、ずーっとそればっかりを食べたがる傾向にあるので、気をつけないと、ものすごい偏食になってしまう。
性格に問題もある。「身体にいいから食べてみろ」などと言われることを好まない。ましてや、強く勧められたり、強要されたりすると、大爆発する。過去にあったそれらの経験が、頑なに拒むという頑固姿勢を何十倍にもパワーアップさせてもいる。私のことだ。
だから好き嫌いが直ることはない。そう思っていた。けれどちがった。たぶん、初めて直ったと思う。
ねっとりと濃厚な口当たりなのに味がしない。サラダ油を舐めているような感じがする。そう思って拒否していたアボカドを、最近私は食べるようになった。不思議だ。
なんとなく、食べてみてもいいかな、という気持ちが湧き、自らサラダを所望し、作ってもらった。口に入れたアボカドに、以前のような拒否反応は全くなく、さっぱりとしすぎたトマトが許せるくらいに、サラダのグレードをあげていた。
そしてついに先日は、ネットで見かけた韓国風のサーモンアボカド丼を食べてみたいと思い、所望して、作ってもらった。お刺身に絡んだコチュジャンの赤とアボカドのグリーンが見た目にも麗しく、ピリッと辛い丼が美味しかった。
長年の不仲を経て、私はアボカドと和解した。
こうして和解してみると、もしかしたら始めからこうなる運命だったのではないかと思う。好きになることは決まっていたような気がする。
なぜって、アボカドの色が好みだから。熟成度と共に黒くなっていく皮の色ではなく、身のライトグリーンが、私は好きだ。これはそう、大好きなピスタチオの色でもある。好きにならないはずがないと思う。まあ、だいぶ長いこと時間はかかりましたが。
「アボカドを克服したから、次は、しいたけかな」
そんなふうにいう旦那さまに、「ぜったいイヤ」と意思表明をしつつ、確信する。あれはライトグリーンじゃないから無理だ。
そもそも論として、昔からライトグリーンが特別に好きだったわけではない。だから、ピスタチオを好きになって、ライトグリーンも好きになったのだと思う。それから今、アボカドへとつながった。好きになるのには正しい順番というものがあるのだと思う。そして、偉大なのはピスタチオだ、と。
ちょうど今、我が家にはピスタチオのお菓子が溢れている。あちこちにある、キレイなライトグリーンを見て、「やっぱアボカドもこの色だよなぁ」と、なぜかニヤニヤが止まらない。
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