見出し画像

私は頻繁に意識を失います~ナルコレプシー~

人生で意識を失う機会って、どれくらいあるのだろう。
ちなみに、私はほぼ毎日ある。ナルコレプシーの「睡眠発作」というやつだ。意識が戻ったときに、寝ていたことに気がつく。

これは、ナルコレシーⅡ型と診断された人の話。


ナルコレプシーとは?

ナルコレプシーは簡単に言うと、夜ちゃんと寝ていても昼間に重度の睡魔に襲われる
自分でコントロールすることはできない。その性質から「居眠り病」と言われている。
実感からすると、気がついたら寝ている。本人も寝てしまったことに気がつかない。起きてから気がつくを繰り返す。睡眠発作というらしい。

この症状の怖いところは、立っていてもくること。
たとえば、電車で立ったまま乗っているとして。気がついたときには、ひざがガクッとなる。あ、寝てたわ、とここで気がつく。
この「ガクッ」は膝カックンのようなやさしいものなので、まだ大事に至ったことはない。けれどいつ睡魔が襲ってくるのか不安になりつつも生きなければならないのは、ちょっと負担が大きかったりもする。


他の症状は?

先ほど説明した、睡眠発作以外の症状について説明していく。

情動脱力発作(カタプレキシー)

突発的な感情の動きがあると、突然脱力する。持っているものを落としたり、立っていられなくなったり。

睡眠麻痺

入眠前後や起きた直後に身体が動かない。

入眠時や覚醒時の幻覚


夜の鮮明で恐ろしい夢、中途覚醒

これは直近の話だけれど、首元に鎌をあてられた夢を見たことがある。
その鎌の冷たさが本当にリアルで、「あ、まずいな。生きて帰れないぞ」と思ったら目が覚めた。生きているのにびっくりした。
他にも度々、ありえないのにとってもリアルなので夢とは思えなかったけれど、少したってから「あれは夢の話か」となることも。

自動症

直前にやっていた動作をそのまま繰り返す。ただし繰り返し方がおかしいこともある。


世界でどのくらいいる?

世界的に見ると600人に1人の割合でナルコレプシーの方がいるらしい。私は今のところ、周りで出会ったことはないのだけれど。
ナルコレプシーがありますと説明すると、「そんな症状があるんだね~」とめずらしがられることがほとんど。

600人に1人って結構多いと思うのだけれど、認知度が低い。私も自分がナルコレプシーだと知るまでには時間がかかっている。
しかも、ナルコ”プ”レシーと間違った言い方をする人が多い。私もかつてはめちゃくちゃ間違っていた。ナルコ“レ”プシーです。


ナルコレプシーの種類?

ナルコレプシーには種類がある。
ナルコレプシーⅠ型、ナルコレプシーⅡ型。
違いは、Ⅰ型には情動発作がある。Ⅱ型にはない。オレキシンの量の違いもあるらしい。



ナルコレプシーとわかるまで

症状がいつからありましたか、と訊かれることがある。私はなんだか困ってしまって、控えめに「中学生からです笑」と答えることが多い。
だって、診断をもらったのはそれから何十年も後の話だったのだから。

発症時期

実は正直に言ってしまうと、明確ではない。
主治医と話をしていて、「それなら中学生の頃だろうね」と言われた。

中学生の頃の私は、とてもすごかった。寝ながら卓球ができたのだ。
卓球部だった私は、なぜか私に優勝させたい母によって、よく近くの卓球台に連れていかれた。そして無理やり卓球をさせられた。
当時は死ぬほど嫌だった。この時間を勉強にあてたかった。
だって私は二位で満足していた。一よりも二の方が好き。金よりも銀の方が好き。だから好んでとっていたのに。
親が理解しないのだから、当然顧問の先生も理解していなかったと知るのは少し先の話。

嫌なことをしていると、眠くなる。人間みんなそうだと思う。だからこの時点で、なんかおかしいなという気分にはならなかった。
しかもふっと意識が戻ったときには、ラリーが続いていた。これって、才能?となったくらいだ。

あれって、身体が覚えているものなのかな。人体って不思議。
まあ、自動症らしいのだけれど。

ちなみに、この時期の睡眠時間は九時間。

何も知らない時期

寝ても眠いとはいえ、睡魔が病気とは思わない。高校生も大学生も普通に生活をしていた。
ただし私のノートは授業を聞いていないで寝ているはずなのに、ノートがきちんと取れている。みみずがのたくったような文字だけれど。
しかも、高校生の時期は成績に困ったこともない。簡単なことだ。卓球を辞めた後は、起きている時間のほとんどを勉強にあてていたから。

が、大学生になってから少しずつ悩み始めていた。
好きなことをしているはずなのに、寝落ちしてしまう。友人と話している間に、寝落ちしていた。バイト中に立ったまま寝ていた。

変わる考え方

ナルコレプシーだと知らなかった私の場合だけれど、生活の仕方が睡魔を基準にして考えるようになる
勉強がしたいのに人より寝てしまう私には、覚醒している時間のすべてを勉強にあてている睡魔がきてもよいように身構えていなければならなかった。

具体的にどんな生活だったのか。
高校時代の休日の場合
7:00 起床。
~8:00 朝食とか何やら。
9:00~11:00 机に向かう。だいたいに時間は睡魔に潰されるので、よくて勉強時間は一時間。
11:00~12:00 昼食やらなにやら。
12:00~17:00 勉強。睡眠が1~2時間。できて勉強時間は2時間。
17:00~18:00 夕食やら何やら。1時間くらい眠ってしまう。
21:00 風呂。
22:00 就寝。

さて、何時間机に向って、何時間勉強できた?
私って、寝るために生まれてきたのかな? 生きる意味あります?

大学生の頃は、カフェイン剤を四錠(規定量は二錠なので、絶対にマネしないでください)飲んで、レッドブル飲んで、コーヒー飲んでも眠かった。
胃を痛めることもあったけれど、私の睡魔は胃痛にも勝つ。

 

発覚

もちろんこんな生活、大人にはできない。
当然だけれど、仕事にも支障が出てくる。パソコンを使った仕事がしたくて入社をしたのに、パソコンと向き合っている間に寝てしまう。
「さすがに寝るのはダメでしょ」上司に声をかけられたとき、これはもうだめだと確信した。

転職!

――したはよかったのだが、やっぱりそこでも寝てしまうことが多々ある。

さすがにおかしいと思った。
調べてみると、よく寝てしまう病気があることを知った。症状を見てみると、ほぼあてはまっている。
ようやく、病院に行くことになった。検査を受けて、ナルコレプシーⅡ型の診断がくだった。
睡魔を抑えるための薬をもらうことになった。


ナルコレプシーを知ってほしい

正直、もっとはやく知っていたらと思わないでもない。
診断がくだったことを近しい人に明かしたときに「よく寝てたもんね~」と言われた。それ、はよ言ってほしかったわ。

知らないと、対策もできないし自分を責めることにもつながってしまう。

おさらいしておくと、ナルコレプシーとは

・夜ちゃんと寝ていても昼間に重度の睡魔に襲われる。
・突然くる睡魔はコントロールできない。
・まさか病気だなんて思わないことが多い。

いつか障害者手帳とか、自立支援の対象になるとよいのだけれど、まだまだナルコレプシーは治療法もわかっていないのに、大した支援はない。
とても言い方が悪いのだが、二次障害を引き起こすしか、支援をいただく方法がないのだ。うつ病とか、発達障害とか。

ちなみに、ナルコレプシーかつADHDというパターンは多いらしい。その場合、併発していない人より睡魔が強いとか。

私はADHDもある。
睡魔もひどいけれど、結構悩ましいのはめっちゃくっちゃ興味が移ること。覚醒しているときに集中力を保っていられるかどうかは、そっちの症状も落ち着いてくれているかが問題になったりする。
もっともそこは私がもう少し、欲のない人間になるように努力すればいいんだろうな、って気はしている。だって、今はしたいことを持ちすぎているのを自覚しているから。

まあ、いつかナルコレプシーが治るといいな。
起きていられるように薬を飲みながら、飲んでも寝てしまうのだろうなあと悲しくなる自分にふたをして、今日やるべきことを考える。


※あくまで素人です。
※ナルコレプシーについては、NPO法人日本ナルコレプシー協会様を参考にいたしました。
※ナルコレプシー3型があるとのご指摘をいただきましたが、調べてもわかりませんでした。大変申しわけございません。情報をいただけますと幸いです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?