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《夢儚散文21 仏陀のお言葉》

「『最後に重要なのはたった三つのことです。どれだけ愛したか、どれだけ優しく生きたか、そしてどれだけ潔く自分に合わないものを手放したか』そんな言葉を仏陀は言っていたみたいよ」

「あ〜それ分かる〜。アタシも沢山の男を愛して、沢山の男に優しくしてあげて、潔く別れて来たもん」

「うわ〜この有難いお言葉をそう捉えるか」

「え、アタシを褒めちぎるためのお話じゃ無いの?」

「あ、まぁそう受け取ってもらってもいいんだけどさ。仏陀はこうも言っているんだ。『水路を作る人は水を導き、矢を作る人は矢を調え、大工は木を調え、善を行う人は自己を調える』キミはある意味自分を調えて生きているって感じがするよ。これ褒めてるのね」

「アタシがアタシであるために、アタシらしく生きていたらこんなになっていた。ただそれだけのことなんだけどね」

「相変わらず逞しいなぁ。その不動心は生まれ付きなの? 悩んでばかりいる俺のガラスのハートとは正反対だよ。正直羨ましい」

「アタシの子供の時の逸話でこんなのがあってね。母親がよくこの話をするんだけど、赤ちゃんの時の手の組み方が観音菩薩っぽかったとか、最初に話した言葉がママじゃなくて『ムガ〜(無我)』だったとかね。やっぱりなんてゆーか、選ばれしモノって感じだったってさ」

「ムガ〜ってそれマジな話?。俺にはそんな逸話ひとつも無いって。ごく平均体重で生まれ、平均的な時期にママと言って、平均的な時期に歩き始めて、普通過ぎて何の面白味も無い幼少期の情報しか聞いてない。そう言うのもある意味羨ましいなぁ〜」

「選ばれし者って自覚があるしね。名前も聖子じゃん。もう生まれからセイントなのよ」

「わ〜俺の名前は猛(タケシ)だけど、全然猛烈さも無いし、猛々しく無いし、名前負けが過ぎるな」

「キミも意外と自分を信じてみたら猛々しくなれるかもよ。そ〜言う男は嫌いじゃ無い」

「おっ、ちょっとは俺にも可能性がある気がして来たか。俺を愛して!俺に優しくして!でもいつか潔く捨てられそうだけど」

「もう、そう言う弱気なところが全然猛らしく無いのよ」

「あ〜真の猛らしくなりたい!そしてキミと付き合いたい!っと言う事でセイントなキミからアドバイスをいただきたい!」

「仏陀はそー言えばこんなことも言っていました。『執着する先にあるのは失うことです。何かに執着すると、何かを失う羽目になります。固執することはやめよ』みたいな」

「猛らしくなりたいに執着するなってことか?、いや違うか、今の軟弱な俺の心に固執するなってことか!」

「あ〜めんどくさい、どっちでもいいんじゃない。潔く自分で決めればいいじゃん。ただアタシに執着するなってメッセージも含まれているからね」

「仏陀のお言葉を通してフラれたと言う事か」

「ムガ〜」

「ムガ〜」

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