《夢儚散文6 巨木について》
「なんで巨木が好きなの?」
「それはさ、こんなデッカいのに最初は小さな種から育ってきたと思うと勇気が湧いてくるんだよね」
「ふ〜ん、私はね、ここまで育ってきたのもひとつの運命と言う感じがするかな」
「運命って?」
「だってさ、同じような小さな種はいくらでもあったはずじゃない。だからここまで育ってこれたのも運命って思うの」
「運命ってなんだろうね?」
「特になんでも無いのかも知れないけど、それぞれの生きた証みたいなものなのかな」
「生きた証ねぇ」
「木はさ、その場所に種が落ちたら自分で移動は出来ない。その運命を受け入れてそこで懸命に育つことに集中しているだけなんだよね。ただそこで集中しているの」
「俺みたいに意識散漫じゃ無いってことね」
「そうそう、あなたに足りないのはそれかもね。集・中・力」
「いやいや、こんな性格の俺と言う種がこの世に降り立ったのも運命でしょう」
「そう簡単にね、育つことを諦めないのよ」
「それが生きた証になるのかね〜そもそも生きた証ってなんだよっと突っ込みをしたい」
「アタシに?それとも神様に?」
「君に!」
「それを自分で考えることが生きた証と言うことで。それがアタシと言う神の答えね」
「おぉ神よ!生きることが不器用な俺を救いたまえ‼︎」
「アタシはアンタを救わないけどね」
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