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《夢儚散文9 マズローの欲求5段階説》

「マズローの欲求5段階説でさ、私が満たされていないものを考えてみたんだよね」
「へ〜満たされてないものって何?」
「まず一番下の生理的欲求」
「え、それってダイエット中でお腹が満たされて無いし、仕事のストレスでよく眠れていないし、俺がセックス下手だしってこと?」
「アタリ!」
「もう最初の階層から聞くに耐えないな」
「それで次の安全の欲求なんだけど分かる?」
「あ〜それって俺の稼ぎが少なくって将来不安すぎるって話じゃないの」
「アタリ!」
「あと3階層もあるのか。先が思いやられるな。次って何だっけ?」
「次は社会的欲求ね」
「たしか親和欲求のことだっけ? いい男も今ベッドの隣にいるし何が不満なんだい」
「もうさっき語っているから省略」
「うわ〜」
「もうあとふたつね。次の階層は承認欲求」
「それよく愚痴ってる上司は何で私の実力を認めてくれないのかってことでしょ」
「半分はアタリ」
「あぁ分かった!君は美しい!なんて美しいんだ!性格悪いけど」
「やっぱり満たされな〜い」
「はぁ強欲な女だなぁ」
「欲張りは女の性なのよ」
「もう聞きたくな〜い」
「はい、それでは最後の階層ね。ピラミッドの頂点の欲求!それは自己実現の欲求なんだって」
「昨日何にも人生の夢が叶って無いって言ってなかったけ?」
「そう!だからね私は絶賛欲求不満ってことが分かったのよ。マズロー博士によって!」
「うわ〜スゲ〜話。マズロー博士にどうにかしてもらいなよ。いいアドバイスくれるかもよ。ちょっと検索」
「いいアドバイスお願い」
「あ、あったマズロー博士の名言集。読むよ…
心して聞くがいい。
『自然な欲求を追求し、満たすことは、決してエゴイズムにはならない。むしろ、低次の欲求が満たされると、高次の欲求が出てきて、それは自己実現、さらには自己超越にまで到る、人間成長につながっていく』だってさ」
「あぁ〜私の強欲もなんか救われる〜。低次元な欲求満たしまくりた〜い」
「おぉこの名言もいいね。
『人びとを成長させる一つの方法は、責任を与え、期待していることを知らせ、苦労をさせ、汗を流させることだと思う。彼らを過保護にし、甘やかせ、代わりにやってやるよりも、自分自身でやらせることである』とのこと」
「却下!もう私は十分よくやってるし、甘えさせて欲しいのよ!まずは低次元に!」
「もうマズロー博士にも噛み付いていきそうな勢いだから、これで最後にしておこうかな」
「うん、もう飽きてきたし」
「キミに捧げるとっておきの名言。
『自分自身に対する認識を変えれば、人間は変わる』」
「おやすみなさ〜い」

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