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《夢儚散文26 ペッペケペー》#掌編小説
「ペッペケペーってなんかすごい言葉だね。文字を分解して見るとペッペケとペーに分けられると思うんだけど、ペッペケの意味も分からないし、最後のペーとかなんかちょっとイラッとくるニュアンスがあるし」
「ペッペケペーじゃなくて、オッペケペーっが原形だったような。たしか明治時代でさ、文明開花な世相を風刺したオッペケペー節ってのがあって、なんか江戸時代から明治時代に変わって西洋化が進んでチャラチャラと洋語とか使う特権階級や庶民派じゃないブルジョア政治家がいたらしいんだよ。そいつらを庶民がディスる感じの歌に使われた造語らしいよ。全文は『オッペケペ、オッペケペッポー、ペッポッポー』だった気がする」
「うわぁ〜全文はさらにイラッとくるね。イラッとさせようとしている言葉の選び方としてはハイセンスな気がしてきた。100年以上の時代を超えて腹立った」
「まぁでもさすがに今使っている人いないでしょ」
「そうだね。いないね」
「だったら、現代版のオッペケペーを考えてみたいな」
「おう、やっぱ、半濁音のパピプペポを使うのが王道かもな。音声学的には、口唇破裂音って言うらしいんだ。可愛げない名称ついてるところもいいじゃない」
「パピプペポか。いい案だ。濁音より半濁音の方がライトに馬鹿に出来るバイブスを感じる」
「現代版は誰をディスる言葉とするんだ?」
「う〜ん、迷惑系とか炎上系YouTuberとかインフルエンサーとかちょっと鼻につく感じがするな」
「ほう、それでは、平成時代から令和時代へ変わって粋じゃないインフルエンサーへ向けて考えてみようじゃないか」
「あ!パッパラパーって昭和時代のオッペケペーかもな!」
「お、おう。そうかもな、オマージュ感あるな。パッパラパーを超える言葉も生み出したいな」
「ポポポポ〜ン」
「それ平成版のやつだな。原発をディスってるやつだったっけ」
「違う違う、3.11の時、テレビで流れまくって俺はトラウマになっているCMソングの言葉。『まほうのことばでたのしいなかまがポポポポ~ン♪』って歌」
「あぁ思い出すだけで俺もキツイわ。平成版は強烈だな」
「オッペケペー、パッパラパー、ポポポポ〜ンと並べて見るとテンション上がって来ている気がするな。令和版はさらなる高みへ‼︎」
「ピッポパパーはどうだ?」
「う〜む、オッペケペーが抜け切れてなく古臭い気がするな。平成がポポポポ〜ンとちょっと次元超えてきている感じがあるじゃん。令和は風の時代って言われているし、もっと軽やかでチャラい感じでイラッとさせるヤツがいい気がする」
「風の時代か。ピュ〜ポパペ〜。いや全然ダメだな。オッピュ〜ポポンピュ〜、いや長すぎるか。パピプペポのうち使われていないピとプをあえて使ってみるか」
「ピュッピュッピュッピュー」
「あぁなんか卑猥な感じだな」
「プピュ〜ウプピュ〜ウ」
「なんか野暮ったい。粋じゃないインフルエンサーをディスる感じだぞ」
「あぁ昭和生まれのモテないオッサン2人が全然流行っていない粋って言葉を使いながら令和版のオッペケペーを考えているのがほんとキツイなぁ」
「暇なんだからいいじゃないか。そもそもゲームしながらの会話だし」
「パピュパミュバブ〜ン」
「ポペプピパ〜ン」
「ピュルピュルルル〜ン」
「チンヒョロスポ〜ン」
「それどっかで聞いたことあるな。平成版だったかな」
「ペポピュルパコ〜ン」
「ピピペペピピーン」
「パパウパウパウフヒィーン」
「それはアレだな」
「う〜ん、俺たち昭和生まれじゃ考えつかなそうな気がしてきた。所詮パッパラパーでポポポポ〜ンでパパウパウパウなんだよ俺たちはさ」
「こうなったらChatGPT に聞いてみよう」
「おぉ人類の叡智!」
「『オッペケペーが明治の言葉、パッパラパーが昭和の言葉、ポポポポ〜ンが平成の言葉と言う流れで令和の言葉を考えてみて』と打ち込んだ!さぁどんな答えが返って来るのか!ポチッ‼︎」
『シャキーン!』
「全然ダメだな」
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