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ひねくれ革靴⑧【リーガル2】2019年イヤーモデル&フリマサイトの魔力・シンデレラ革靴を探して

前話からの続きです。同じ話を2話に分けるのは好きじゃない派なのですが、あまりに長くなってしまったので分けました。前回の7話はリーガルのイヤーモデルがメインです。今回の8話は廃番の魅力がメインです。


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1.リーガル2019年のイヤーモデルは、「2235」?

いきなり前話に戻りますが、リーガルの2019年のイヤーモデル「W75B DG」についてです。この子、なんと2235と同じ木型(ラスト)なのです。隠しキャラが出てきました……

2585<2589<2235<801R<W105【<W75B DG】

※価格順

販売時期が違うのと、価格改定をたくさんしているので、同じ物差しでは比べられないと思うのですが一応以下です。

2585:30,800円(税込)※2024年
2589:30,800円(税込)※2024年
2235:38,500円(税込)※2024年 ※2013年当時は33,000円(税抜)
801R:33,000円(税抜)※2013年当時
W105:38,000円(税抜)※2013年当時
W75B DG:50,760円(税込) ※2019年限定

そもそも消費税のパーセンテージが違うぞという勢いですが、知ったこっちゃありません。とりあえずW75B DGがダントツお高いのです。
ついに、自分の持っている靴の話がしたいだけおじさんがはじまります。いやこれまでもそうでしたが。。。

前話の無駄に長い伏線がついに回収されました。
私の持っている2235は、
2019年イヤーモデルのW75B DGだったのです!
自分の持っている靴の話がしたいだけおじさん

801RもW105も廃番になったのに、イヤーモデルでまた似たようなの作ってどうすんねんと思いますが、果たして革靴ってどこまで同じなら似てると言えますでしょうか。

W75B DGは、木型が一緒ですが、シボ革ではありません。
色は似ています。でもソールのレーザー加工はオンリーワンです。
(しかし、ソールが削れたりオールソールしたらこのアイデンティティは揺らぎます)

靴のアイデンティティをどこに求めるかにもよります。何が一緒だったら、同じ靴なのか?「テセウスの船」ってご存じでしょうか。構成するパーツがすべて置き換えられたら、違うものか。思考実験は「テセウスの革靴」でも出来るのではと。まあ同一性を靴に求めなくてもいいのですが。

ソールがレーザー加工でカッコいいのですが、
ハーフラバーをつけてあります。
だって革底は滑るのです。
でも革製品に写真ベースのレーザー彫刻なので、
たぶんお金がそれなりにかかっているのでは。。。
インソールも綺麗なんですが、
履いていたらきっと消えてしまいます。

外掬いグッドイヤーウェルトという製法らしいのですが、はたしてノルウェイジャンとは違うの? てかこれ、オールソールしてもらえるの?? いくらかかるの?? 

「外掬いグッドイヤーウェルト」
前に、水平にすくい縫いをしていたら
ノルウェージャンと聞いたのですが、
じゃあ外に出るように掬い縫いしてたら、
ノルウェージャンでは。
まあノルウェージャンって定義が怪しいらしいので、
深く突っ込むのも野暮な話だと思いますが。


削れてしまうレーザー加工ソールといい、この靴のコンセプトが「永く履けることの価値」なのが謎です。「永く売れることの価値」ならわかります。2235の木型でどんだけ似たような靴つくってんねんと。

いや、好きなんです。大好きなんですけども。2235もリーガルも好きなんですけども。モヤっとするんです。

「リーガルのブランディングが、大量生産大量消費の既成靴」「シェットランドフォックスが、知る人ぞ知る高級向け」という割り切りなら仕方ないんでしょうけども。前回紹介したイヤーモデルシリーズはとてもモヤっとするんです。

コンセプトやブランディングが若干分かりづらく、革靴初心者には闇鍋感のあるリーガルにおいて、やはりマスターリーガルはとてもシンプルで分かりやすくおすすめできます。

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2.人類は廃番に勝てない?? ←お前だけ

今回までの全8話を通じてお気づきかと思うのですが、私はイヤーモデルとか廃番とか、もう売ってないことに魅力を感じます。

廃番というワードに魅力を感じるのは、私だけじゃないはずです。

被らないし、レアだし、ちょっと時代にあってないその古いかんじのデザインもおっさんぽいかんじも好き。

昔の方が革質がよかったとかそんな話も聞くと、もはや魔力。。。吸い寄せられます。。。

しかし、このひねくれ革靴ブログ、「中古で革靴買うと失敗するからやめといたほうがいっすよー」、ってブログだったはずなのに、廃番が好きって。。。

ーー宗旨替えですか??

いいえ、変わっていません。
中古で革靴買うと痛い目に合う、っていうのは事実です。
ただ、廃番好きは感情なんです。
感情は事実じゃ止められないのです。。。
そして学習せずまた、痛い目に合います。

このアンビバレンツな感情を着地させるには、「廃番が決まった靴を新品で買う」「廃番になったはずなのに、まだ売れ残っていた」というのを狙うしかないです。イバラの道です。。。気長に運命の出会いを待ちたいと思います。

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3.フリマサイトの魅力(魔力) →銭失いだけど、何かは残る

散々フリマサイトの文句を書いてきたこのブログですが、フリマサイトの魅力は、販売終了等のレアものを探すこと・ギャンブル的な楽しさ以外にも、実際に失敗したときの経験値が入るというもあると思います。

ちゃんと店員さんと相談して買ったらまずしないような失敗を、フリマサイトではしょっちゅうやらかします。安物買いの銭失いをしまくります。でも、失敗することでしか入らない経験値はあると思います。

痛い目にあってお金を失うと、調べようと思います。そして情報を仕入れると、見方が変わって世界が広がって楽しくなります。目利きが出来るようになってきたら、ぼったくりか掘り出し物かわかるようになったり。

買って、履いて、一緒に過ごしてみないと分からないことも多いです。(動物の亡骸から作られているものにこういうことを言うのも変だと思うのですが、)革靴って生き物だと思うのです。どういう環境で、どういうふうに過ごすかで、全然違う育ち方をします。

フリマサイトで失敗するのは、安物買いの銭失いであることは間違いありませんが、お金を払って手に入れたという経験は残るのです。ネットでググってるだけじゃ分からないことが、所有するとたくさん分かるのです。

唐突ですが、役所広司さん主演の『PERFECT DAYS』という映画で、主人公は雑草みたいな植物を道端で拾って大事に育てています。フリマサイトで誰かが捨てた革靴を拾って、綺麗にして、大事にするのも、ちょっと似ている気がします。誰かが気にも留めないようなものでも、すくいあげて大切にする。そんなことが出来るなら、フリマサイトもいいものかもしれません。

(実際は、本当に捨てたほうがいいような革靴も多く出品されていて困っちゃいますが)

第4話で書きましたが運命の革靴「シンデレラ革靴」を探すというのは実は、出会った革靴を運命と信じ、運命の革靴に育てることかもしれないです。(いわば「結婚はゴールじゃなくてスタート」みたいなポエマーなテンションです。「愛が証明されたから結婚するんじゃなくて、愛を証明するために結婚したんだ」的なロマンチストです)

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しかし現実主義的な方は「合う革靴を探すより、足に合わせて作ってもらえば早いのでは、、、」という反論がどうしたって出てくるはずです。

そこについて、次回はビスポークと既成靴の話を書きたいと思います。


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