【読書】ある行旅死亡人の物語
自分はこの世界に何か残せるものがあるんだろうか。そんな風にぼんやり考えることがある。何も結果を出せてないな。何も成し遂げられてないな。そう落ち込むこともあるけれど、何かを成し遂げられなくても自分がそこに存在していたことは事実で、その可能性を疑ったことはなかった。
だから、自分がいなくなった世界から自分の存在そのものが消えてしまうことがあるなんて、想像だにしなかった。
これは、尼崎市で孤独死した1人の女性の生涯を追ったルポタージュ書籍だ。
彼女は右手の指が全て欠損しており、