香水/瑛人

今日はTikTokで爆発的ヒットを記録した後、めちゃくちゃにイジり倒されてしまったこちらの名曲の歌詞を大真面目に考えてみようと思う。個人的には人生で聞いてきた失恋ソングの中でも指折りの名曲だと思う。余談だが、先日この曲のタイ語ver.がリリースされたらしいが、どうにも下ネタにしか聞こえないと話題になっている。聴いてみたが、一言目から大アウトであった。いやはや。

この曲の主人公は、1番サビ前で「でもみてよ今の僕を クズになった僕を 人を傷つけてまた泣かせても何も感じ取れなくてさ」とある。きっと本当にクズになったのであろう。1番の急なLINEと「君とはもう3年くらい会ってないのにどうしたの」といった歌詞、その後ふと脳裏によぎった「海」の思い出などから考えるにきっと「君」との破局が「僕」の貞操観念やなにかを狂わせ、悲しき遊び人になってしまったのであろう。「別に君を求めてないけど」などと吹っ切れたような口調で話してはいるがやはり香水の匂いを嗅ぐと思い出してしまうのである。

2番ではあれほど好きだった「君」との再会を果たす。「かわいくなったね」なんて言葉は3年前、自分が好きだった「君」からは良くも悪くも"変わってしまった"と同義なので「口先でしか言えない」のであろう。しかし、やはり会いには行っているので踏ん切りをつけられているわけではないのであろう。本当は変わらないでほしかったが、別れて変わってしまった「君」はそれでもかわいかったのであろう。ここで「君」は「タバコなんかくわえだして」とあまりにも大きな変化を見せる。「悲しくないよ 悲しくないよ 君が変わっただけだから」と自分に言い聞かせる主人公に胸が張り裂けそうな気持ちになる。ここの自戒は秀逸と言わざるを得ない。「でも見てよ今の僕を 空っぽの僕を 人に嘘ついて軽蔑されて涙ひとつも出なくてさ」と、でも見てよと自分の変化も誇示しているが、空っぽな上に空虚な強がりをしている自分にも同時に気づいている。「何もなくても 楽しかった頃に 戻りたいとかは思わないけど」と"楽しかったな"という思い出を残しながらも戻りたいなどは思っていなかった主人公だが、「君の目を見ると思う」。戻りたいと思ってしまうのである。「別に君をまた好きになる ことなんてあり得ないけど」と言っておきながらもラスサビ「別に君をまた好きになる くらい君は素敵な人だよ」と来る。ここはやはり再会してしまうと好きになってしまうのであろう。頭と心はやはり幸か不幸か乖離しているものなのである。「でもまた同じことの繰り返しって僕がふられるんだ」と来ている最後の部分はきっと実際に復縁を迫ったわけではないのであろう。結果のわかりきった挑戦を諦めたような文脈には、やはり心と頭の乖離が描かれている。

僕の考察はこんな感じだが、僕が思うにこの曲はドルガバだけを抜き出されてしまうような薄い曲ではないと思う。哀愁漂う失恋ソングであろう。

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