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匂いにまつわる私的な話たち





万年鼻炎のくせに、自分は結構匂いに敏感だと思う。
かといって、自身でいい匂いを纏わせていたり、お香やアロマとかのフレグランスに凝っているわけではない。
香水や強い柔軟剤の匂いがかなり苦手。電車とかで香水をつけている方が隣にいるとかなりしんどくなってしまう。
あと車のフレグランスにも弱い。すぐ酔ってしまう。
匂いに敏感というよりも、匂いの好き嫌いがはっきりしているのかも。あまったるい匂いよりも、すっきりした爽やかな匂いの方がいい。
私もお香やオイルを買うことがあるのだけど、以前は匂いで失敗することが結構あった。レモンとかラベンダーとか、表記を見て匂いの系統がピンとくるものはいい。前はサンダルウッドとかムスクとか、表記を見てもピンとこず、適当に買って失敗してしまう。
最近は自分の好きな系統はこれ、となんとなくわかってきて。そこから匂いのする化粧水とかを買うのが楽しい。
自分の好きな匂いがなんなのか、知っておくことは大切なんだな〜と思った。




匂いと記憶が結びついていることが多い。空気の匂いが時期で変わって、秋が来たな〜とか思うのも好きだし、匂いによって呼び覚まされる記憶が結構あり、昔を懐かしむその時間が結構好き。
例えば新宿の路上は、大学の時に旅行で行った東南アジアの繁華街と同じ匂いがする。雨上がりの場合は特に。古い油がこびりついた換気扇から流れてくる料理や排気ガスの匂い。多くの人の気配も、もはや匂いの一つになっている気がする。不思議と新宿に行くと、気付けばタイやベトナムのことを思い出して浸っている自分がいる。
他には、どこかの家の夕飯の匂いを嗅いで、もう食べることのできないおばあちゃんの手料理を思い出したり。最近作っていない料理を食べたくなったり。




どこかの家の夕飯といえば、我が家と同じフロアの佐藤さん(仮名)のお家が最高だ。
引っ越しの時に挨拶に行ったきりで、普段全然会わないので佐藤さんの顔も思い出せないし、家族構成もわからない。
でも、毎日佐藤さんのお家からは夕飯時に本当にいい匂いがする。
カレーの匂い、イカと里芋を煮たような匂い、中華っぽい炒め物の匂い、焼いた魚の匂い。
夫と2人で、「今日佐藤さんの家から〜の匂いがした」と頻度高く報告し合う。うちの献立も結構左右されている。
左右されているが、左右されて助かっている。料理は嫌いではないが、毎日の献立を考えるのってとても労力がいる。
持つべきものは、いい匂いのするご近所さんなのだな。




小学生の時、朝歯を磨くのがめんどくさかった時があった。なんでめんどくさかったのか、原因はわからない。
お昼は学校の歯磨きタイムできちんと磨くし、寝る前にもちゃんと歯磨きをする。なぜか朝だけ歯を磨かない時期があったのだ。
そんなある日、当時好きだった男の子に「口が臭い」と言われてしまった。そりゃあ歯を磨いてないのだから臭いに決まってる。
当然ショックを受け、その日からきちんと朝も歯を磨くようになった。
その男の子とは今では仲のいい友人である。もう口が臭いを言われたことを気にしてもいない。と思っているけど、時々思い出すってことは今でもそのことを気にしているとしか言いようがない。
でもあの時、はっきりいってもらって良かったなと思う。ありがとう。
そして当時、臭い口を嗅がせてしまってごめん。あ、これが彼にずっと言いたかったのかも。
今これを書いていて、なんとなくスッキリした。




我が家では、おならが出そうな時にとあるルールを設けている。
匂いのしない、もしくは匂いが弱いおならが出そうな時はそのまましてよし。匂いがしそうなおならの時は、おならが出ると相手に伝える、というものだ。
出る、と伝えられた相手は、さっと場所を移動したり何かで仰いでおならの匂いを防いだりする。
申告するだけでもなんかおもろいし、申告しないで臭いおならが出てしまった時もおもろい。そして申告が遅く、完全におならを浴びてしまった時も最高に面白い。
おならのおかげで我が家は今日も平和だ。
臭いけど、おならっていい奴。


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