昭和ゴージャス・閉館したホテル ニューアカオの終焉を見てきた話〈前編〉
" 非日常 "
私が知る中でこの言葉が一番似合う場所はホテルニューアカオだ。
一面に広がる空と海、数々のシャンデリア、赤い絨毯、生演奏を聴きながらのディナーショー。
言葉では表せない、贅沢で煌びやかな時間を過ごせる唯一無二のホテル。
そんな私が恋をしたニューアカオは、2021年11月に宿泊施設としての営業終了し48年の歴史に幕を閉じた。コロナ禍の休業で需要の回復が見込めないことと施設の老朽化が原因だった。
その知らせは余りに突然で、休業中の発表だった為、もう一度ニューアカオに泊まるという夢は叶わぬ夢となった。
ホテルとしての役目を終えたニューアカオは現在、PROJECT ATAMIという企画の一貫で現代アートのメイン展示会場として利用されている。
このイベントは昨年末にも開催されていたが、都合がつかず行けず仕舞いで大変後悔していたところ、週末限定で再度アート展示を開催するとの情報を知り、大好きなニューアカオの現在を確かめなければと1人で熱海に向かった。
ブログなんて滅多に書かないけれど、今回ばかりは大切だった場所の忘備録としてここに綴ろうと思う。
熱海のシンボル
ホテル ニューアカオ
熱海に行ったことがある人は必ず目にしたことがあるであろうホテルニューアカオ。
海の向こうに見えるあのレトロな赤いロゴが忘れられない。
今は建築基準法的に建てられないような錦ヶ浦の断崖絶壁、海に迫り出す形で立っている全室オーシャンビューの大型海上ホテル。
建設当時も関係省庁による建築許可がなかなか降りなかったそうだ。
面白いのが、ロビーが最上階となっており、客室や食事処へはそこからエレベーターで下っていく。下るに連れて海が目の前に迫ってくる珍しいスタイルだった。
ACAO OPEN RESIDENCE#5 前編
展示初日、お気に入りのヴィンテージドレスを纏い、アカオにぴったりの赤い靴を履いて熱海へ向かった。私なりのアカオへの正装だった。
この展示は、ニューアカオから少し離れたところにあるロイヤルウイングで受付を済ませ入館証を受け取った後、自由に館内を見ることができる。
展示の基本情報
受付を済ませロイヤルウイングへ
平成初期に建てられたこのロイヤルウイングは、白とピンクを基調としており花柄の絨毯など可愛らしい雰囲気。エレベーターがめちゃくちゃ可愛くてタイプだった。
ニューアカオとはまた違った柔らかい華やかさがあった。
奥へ進みニューアカオに繋がる連絡通路に入ると一瞬にして空気が変わったように思う。
肌寒く静かで薄暗い、海に呑まれるような感覚だった。
雲ひとつない青空と青い海が美しく寂しい。
絶景に動けなくなりつつもニューアカオ館内へ。
ニューアカオ
15階 サロン・ド・錦鱗
連絡通路を抜けた先、まず辿り着く圧倒的存在感のダンスホール。
営業当時、夜になるとパープルとブルーのライトが光る怪しい雰囲気のBARにもなっていた場所。
ロビーに繋がる階段
サロン・ド・錦鱗の前には美しい階段がある。
至る所にあるシャンデリアは繊細で美しい。
この階段を登っていくと最上階へ辿り着く。
17階 ロビー
宿泊当時、沢山の観光客で賑わっていたロビー。
当時とはまるで違う空間にニューアカオの終わりを感じ切ない気持ちになった。
見違えた光景にセンチメンタルになりつつも、静かに稼働するエレベーターで低層階へ向かった。
この後目にする悲しくて美しい光景も忘れられないものばかりだった。
※続きは後編で。
2/3追記:後編公開いたしました!
Twitterにも掲載してい〼。
何卒…!