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薄味の先にある誘惑

 子どもに合わせて、家族の料理が減塩、薄味になってから数年が経った。そのおかげか、今では外食やスーパーのお惣菜の濃い味付けに毎回驚くと共に、その美味しさに感動してしまう。

 もちろん、薄味の方が体にはいいとわかっている。人ではないが、子どもの頃に飼っていた猫は腎臓が悪く、濃い味が体に及ぼす影響に敏感になった。結局、その猫は腎臓病が原因で10歳を少し過ぎた頃に亡くなってしまった。20歳まで生きることも珍しくない昨今を考えると、早かったと思う。

 人間も同じで、味付けが濃いものは中毒性があるが、腎臓には良くない。血圧も上がるため、かつての成人病、今で言う生活習慣病の引き金になり、脳卒中にまで発展するリスクがある。

 そんなことを考えながら、スーパーの惣菜コーナーで1個増量のかぼちゃコロッケを手に取ってしまった。家に帰り、一口かじるとやはり味が濃い!でもその濃さがたまらなく美味しい。気がつけば、減塩醤油をたっぷりかけてしまっていた。

 濃い味の美味しさは、体に悪いとわかっていてもやっぱり惹かれてしまう。けれど、そんな小さな油断が命取りになることもある。そう思いながら、濃い味の世界を求める自分がいるのだ。

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