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燃え続ける執着心

 執着に囚われている。
 この性質が、私に驚くべき集中力をもたらす一方で、不器用さや偏りを際立たせる。そして、私の行動や感情、さらには記憶にまで深く影響を及ぼしている。

 興味を持ったことには、細部まで掘り下げ、納得がいくまで取り組める。その粘り強さは、アイデアや発想力を求められる場面で新たな解決策を生む。しかし、興味を持てないことや優先度が低いと感じることには、極端に無関心になる。この二面性は、私の得意分野を際立たせる反面、周囲を困惑させる。

 家庭では、この執着心の影響が特に顕著だ。家事のように継続性や同時進行の器用さが求められる作業は苦手だ。たとえば掃除中、目についた汚れに執着し、それを徹底的に掃除し続けるあまり、全体の掃除が終わらない。

 さらに、執着心は記憶にも強く影響を与えている。過去の出来事を驚くほど鮮明に覚えている一方で、それらの記憶を引き出すのには時間がかかる。

 たとえば、友人との何気ない会話で「こんなことがあったよね」と言われた瞬間。すぐには思い出せなくても、時間が経つうちに断片的な記憶が蘇り、最終的には当時の感情や状況まで詳細に思い出せる。ただし、それはその物事に興味を持っていれば、という厄介な条件付きだ。

 この記憶の現像には光と影がある。重要な思い出を大切に保存できる一方で、ネガティブな感情や記憶も同時に蘇ってしまう。たとえば、友人や家族との衝突や些細な失敗の記憶が鮮明に甦り、思い出すたびに当時の感情が心を激しく揺さぶる。

 この燃えさかる執着心との付き合い方について、私はいまだに答えを見いだせていない。火達磨になるのか、それとも上手に火を扱えるのか。それは誰にも分からない。ただ、これが私の軸足であり、欠かすことのできない、私自身の一部であることだけは間違いない。

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