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黄金の記憶
駅のポスターに目を奪われ、子ども時代の思い出が一つ蘇った。ゲームボーイを片手に伊豆半島、箱根から伊東までよく旅行したが、その記憶の一つに、砂金採り体験があった。あれはおそらく土肥金山での出来事だ。
当時のルールはあまり覚えていないが、採った砂金を金の延べ棒のようなキーホルダーに詰めて持ち帰ることができた。子ども心には、本物の宝探しだった。
しかし、その宝は簡単には手に入らない。十回ほど掬って、ようやく一欠片が見つかるかどうかだった。腕力不足だったが、もしもっと深く掘っていたら、底には黄金が眠っていたのだろうか。今でもそんな想像をしてしまう。
記念のキーホルダーは、子どもにとって格別だった。色と形から、どこで手に入れたかが一目で分かり、中央のガラスに砂金を詰めることができるのも魅力だった。黄金という非日常な存在を手にしたことで、小さな達成感が心に残った。 そんな宝探しの結果が、キーホルダーという形で手元にあるのだから、嬉しくないわけがない。
記憶の次は砂金を掬いたい。疲れた帰り道、瞼の裏側に見えるキーホルダーは小さな勲章のように輝いて見えた。