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ラベルに残った記憶

 学生時代の友人と、たまたま近くで働いていたことがあった。その頃、仕事帰りによく一緒に遊んだことを思い出す。ふらっと飲み屋街に足を向けてみたり、電気屋に寄って最新のパソコンを触ってみたり、目的もなく街を彷徨い歩いていた。

 そんな中、ある夜、面白い日本酒に出会った。けれど、飲みすぎてしまったせいで、その名前をどうしても思い出せなかった。しかし最近、昔の写真を整理していたとき、偶然その日本酒のラベルを撮った写真を見つけた。それで、ようやく名前を思い出したのだ。「讃岐くらうでぃ」。

 この日本酒、にごり酒は、カルピスのような甘酸っぱい味が印象的だったことを覚えている。まるでソフトドリンクのようにごくごくと飲んでしまい、その後、他の日本酒と飲み比べをしていたら、いつの間にか記憶が途切れてしまったのだ。

 あの日本酒の飲み比べをした地下街のバーは、まだ残っているのだろうか。お酒の名前を思い出すことはできても、あのバーの場所がどうしても思い出せない。けれど、写真に写っているということは、こちらも幻ではなかったはずだ。

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