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未来のピコ

 子供の頃、ゲームを買うのに一苦労する友達が少なからず居た。目が悪くなる、勉強をしなくなる、将来に良くない。そういった理由からだ。ドラゴンクエストⅠで算数を、ファイナルファンタジーⅥで漢字を覚えた身としては、その理由に困惑する部分もある。しかし親の立場からすれば理解できなくもない。

 そんな家庭の救世主がキッズコンピュータ・ピコだった。

 教育目的なら親を説得しやすかったのだろう。ピコは「知育」の看板を掲げ、ゲームとしての魅力だけでなく、親への安心感も提供していた。

 メガドライブと同じセガの技術が詰まったピコは、そのタッチペンと絵本のようなカセット、キャラクターの音声が印象的だった。あのメガドライブのスピード感や爽快感とは異なり、マリオもソニックもいないが、それでも土俵は同じ。ソフトを差し替えれば、いくつもの世界に飛び込むことができた。

 ただ、残念ながら友達とピコで遊ぶことは殆どなかった。ピコを持つ彼らは、いつも他のゲーム機を持つ友達の家に行くからだ。タッチペンを握りながらどこか物足りなさを感じていたのかもしれない。「ボンバーマンやゴエモンがあれば」と。

 それでも、ピコのタッチペンを握りながら感じた未来的な感覚は良く覚えている。日々絵本を読み聞かせる中で、あのインタラクティブ性が教育の新しい可能性を未だ秘めていると感じるのだ。ピコが描いた「学びと遊びの融合」に未来は追い付いたのか。非常に気になっている。

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