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失われた騎士の輝き

 騎士竜戦隊リュウソウジャー。王道のキラキラギラギラとしたOPに対して、ほろ苦いエピローグが印象的だった。

 この物語には、リュウソウジャーになれなかった、ナダという男が登場する。この人物の境遇が切なく、そして大人の心に深く訴えかける。

 ナダは主人公コウ以上に剣技に長けており、リュウソウジャーの候補であった。しかし選ばれず、夢は打ち砕かれることになる。そして選ばれた者たちを横目に失踪する。その後、物語が進む中で、彼はリュウソウジャーと敵組織ドルイドンの戦いに駆けつけ、彼らをサポートする存在となる。しかし、その胸にはリュウソウジャーになれなかった悔しさがくすぶり続けていた。

 その悔しさは、彼を闇へと誘い込む。ガイソーグと呼ばれる呪われた装具に取り憑かれ、ナダは操られてしまう。そして邪悪な力でリュウソウジャーを危機に陥れる。しかし仲間たちの勇気と機転で闇を討ち払うことに成功し、彼は自らの心の弱さと向き合うことができた。

 しかし、その直後に、彼は仲間を救うために強敵に挑み、命を引き換えにしてしまう。彼の最後の瞬間は輝かしい。しかし、彼が選ばれなかった者としての苦しみと、誰かを守るために犠牲になるという、ほろ苦い現実の象徴でもある。物語のエピローグで主人公コウが彼を思い、その前に幻として登場することで、その存在が一層際立つ。

 ナダの存在は、世界を救うほどの力を手に入れても、必ずしも主人公のように活躍できるわけではない、という現実を示しているように感じる。それが子供たちにとってどう映ったかはわからないが、大人の視聴者には、夢破れた者たちの切なさや、現実の厳しさを思い起こさせる。
 それでも、ナダの姿は虚しさだけでなく、どこかに勇気と希望をも感じさせる。どんな生き方をしても、自分の道を見つけることができるというメッセージが、ほろ苦さの中に秘められているように思う。

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