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終盤の予感
ゲームを遊んでいると、終盤を感じる瞬間がある。たとえば、溶岩や雪山のステージ。また、暗く重低音の効いたBGMも、次第に物語がクライマックスへ向かっていることを告げる。
星のカービィ64の「リップルスター」も、そんな終盤の象徴の一つだ。
直後のボス戦のBGMも、これまでと異なり、暗く異質な雰囲気になっている。
その様は、プレイヤーにこれまでの冒険とは一線を画す緊張感を与える。ゲームの音楽は、ただの背景音以上の存在として、雰囲気全体を劇的に変える。
こうした視覚的・聴覚的な演出は、プレイヤーの心情に直接働きかける。序盤の軽快で明るいBGMに包まれていたときは、冒険の楽しさや好奇心が満ち溢れていた。しかし、徐々に忍び寄る危機感が姿を変え、クライマックスへ向かう過程を確実に伝えてくる。
ゲームの終盤はただ難易度が上がるだけではない。プレイヤーは冒険での出会いや困難を通じて、キャラクターや世界観に深い愛着を感じている。ラスボスに挑む瞬間、これまでの旅路が胸に蘇り、勝利への期待とともに、どこか切なさを覚える。
ゲーム体験そのものが物語なのだ。終わりに近づくとき、その世界に深く没入してしまう。エンディングの寂しさは、数々のドラマを歩んできた証だ。