優しさを繋ぐ
父方の祖父の家に足を踏み入れると、いつも聞こえてきたのはゲームの音だった。リビングに大きなテレビとゲーム機があり、その近くには攻略本が無造作に置かれていた。いつからそうだったのだろうか。
祖父は祖母と、年の離れた父の弟、つまり叔父さんと一緒に暮らしていた。叔父さんは、私が子どもの頃には大学生だったと記憶している。その時ハマっていたゲームでよく遊んでくれる、優しい人だった。
あるとき、私は叔父さんの本に挟まれていたお金を偶然見つけた。何故そんなところにお金があったのかは謎だが、発見できたご褒美として、分けてくれた。不思議な人だったが、気前も良かった。
叔父さんは説明が上手で、ファイアーエムブレムやエイジ・オブ・エンパイアの遊び方や面白さを丁寧に教えてくれた。どちらもシミュレーションゲームで、叔父さんが得意としていたジャンルだった。また、セガサターンが発売された後は、クロックワークナイトやナイツも一緒に楽しんだ。
クロックワークナイトは今でもセガサターンでしか遊べない。もしプレイステーションで発売されていたらクラッシュバンディクーになれたかもしれない。機会があれば、もう一度遊びたい。
夜になると、叔父さんはセガサターンを自室に持っていき、友達と遊び始めてしまう。寂しい時間だった。後日、彼が遊んでいたセガサターンを開けてみると、「EVE burst error」というゲームが入っていた。タイトルの「burst error」という言葉をなんとなく忌避し、ディスクをナイツに入れ替えて遊んだ。
子どもにとって、好きなもので遊んでくれる年上は特別な存在だ。その記憶はただの懐かしい思い出ではなく、優しさとつながりの大切さを心に刻み込む。叔父さんの優しさを、子どもだけでなく身近な人々に繋げていけたら嬉しい。優しさは連鎖する。